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柿原 翔樹(オリックス)内野手のルーキー回顧へ



柿原  翔樹(鎮西)投手 177/77 右/右 
 




                   「すげぇ~スイング!」





 まるで外人がフルスイングするような、物凄いスイングをする 柿原 翔樹 。高校通算40本塁打を誇る、九州を代表するスラッガー。最後の夏は、エースナンバーをつけてマウンドに上がることも多かった。


(守備・走塁面)

 残念ながら観戦した二試合の模様とも、投手として登板。そのため他のポジションでの守備は、よくわからず。投手としては、常時130~135キロぐらいで平凡な投手との印象だが、肩はそれなりに強いはず。投球センスや各所作を見るかぎり、それほど動きに俊敏性やフィールディングの上手さは感じられなかった。この動作を見るかぎり、三塁手としても平均~それ以下なのかなぁといった印象は受けたが、意外にピッチングはまとまっていたなど、ソツなくこなす器用さを併せ持っている。

一塁までの塁間は、4.6秒ぐらい。これを左打者に換算すると 4.35秒ぐらいに相当する。

通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

と、プロの打者としては遅い部類に入りそう。ちなみに2011年度にドラフト指名された右打者の走力の中で、彼の走力を偏差値に現すと 34 となる。


(打撃内容)

 フルスイングするので、どうしてもボール球を投げていれば大丈夫という感じの打者で、滅多に出会い頭のホームランは出ないだろう。身体はそれほど大きくなく、打球の殆どは引っ張って巻き込む。

<構え> 
☆☆

 スクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かして構えます。グリップを非常に高く添えて、腰は沈めずにそのまま立って構えます。両目で前を見据える姿勢は平均的ですが、全体に癖のあるバランスの悪い構えです。ただ一見力が物凄く入っているようにも見えますが、構え自体にはそれほど力みは感じられません。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が下がりきったときに、ベース側につま先立ち。本格的に始動するのは、リリースを迎えたあたりと極めて遅すぎる仕掛けです。これでは、一定レベルの球速・切れのある球に立ち遅れて、自分のバッティングをさせてもらえない可能性が高いわけです。プロのスピードに対応するのには、かなり時間がかかるのではないのでしょうか。

<足の運び> 
☆☆

 足を上げてから下ろすまでの「間」が短いので、打てる球は限られます。そのためあらかじめ狙いを定めて、その球を逃さない鋭さが求められます。しかし彼のスイングを見るかぎり、ボールを絞っている感じはなく、自分が打てると思った球は、ガンガン振りに行っているようです。

 またベースから離れた方向に踏み出す、アウトステップを採用。右打者がアウトステップを採用すると、外角低めのストレートや逃げてゆくスライダーへの対処に苦労することが予想されます。ただ踏み込んだ足元はブレないので、ある程度外角の球でも対応できるでしょう。しかし腰を早く逃し、ボールをレフト方向に引っ張るスイングしかできないように思えます。上手く巻き込めた球に対しては物凄い破壊力は魅せますが、そうでなければ当たらないか、引っ掛けるような打球が続出します。

<リストワーク> 
☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形は早く作れています。ただグリップを、かなり内にまで入り込んでしまいヘッドの出が窮屈。これでは、引っ張って巻き込む打撃でも、内角も上手く捌けません。

 バットは遠回りに出てくるのですが、スイング中はバットの先端が下がらず、レベルスイングに留めます。ただ物凄いフルスイングなのですが、それほどスイングの弧が大きく遠心力を活かすとか、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶというタイプではありません。

 あくまでも来た球をグチャと潰すスイングであり、強烈な球足で野手の間を抜けてゆく、そんな感じのスイングではないのでしょうか。勿論上手くタイミングがあえば、スタンドインは厭わないのでしょうが。

<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げ下げは小さいので、目線のブレは小さいです。腰は早く逃げますが、体の開きも我慢は出来ています。逆に内角を捌くときは、足元がブレていいので早く地面から離れて欲しいぐらいです。軸足も意外に地面から真っ直ぐ伸びており、体が前に突っ込むとかそういったことはありません。

(打撃のまとめ)

 ボールを絞り込む選球眼、ボールを捉えるセンス、ボールを遠くに飛ばす天才の才能などは、残念ながら感じられません。ただひたすら思っきりバットを強振する、それだけの打撃です。個人的にはそういった潔さは見ていて好感は持てますが、プロではファームでも1割を越せないのではないのかとさえ思えます。


(今後は)

 ちょっと投球しか見られなかったので、ディフェンス力に関してはよくわかりません。ただ走力もない選手なので、サードが出来ない場合は、一塁かレフトぐらいになるのでしょうね。

 完全に、打撃に重きが置かれています。ただその大成には極めて時間がかかるだろうし、大成させるのは厳しい道程となるでしょう。育成枠という入団の経緯からも、球団がどのぐらい面倒を見てくれるのか?確かに面白さは感じる素材ですが、限りなくプロでの大成は0に近いと思います。逆に彼を大成させたならば、称賛の拍手を送らせて頂きたいと思います。個人的には育成枠の選手ですが、今後非常に気になります。


(2011年夏 熊本大会)