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近藤 健介(日ハム)内野手のルーキー回顧へ







近藤 健介(横浜)捕手 172/83 右/左 





                      「さすが横浜高校」





 夏の甲子園を見終わったときは、ちょっとプロとしては物足りないかなと正直思っていた選手。しかしAAA選手権の全日本メンバーに混ざってプレーをする姿を見て、改めて全国でもトップクラスの捕手という、強烈な印象を残してくれた。さすが名門・横浜高校で鍛えられているだけあって、高校生としては非常に洗練されている。


(ディフェンス面)

 元々捕手だけでなく、いろいろなポジションを担ってきた3年間でした。そのため捕手としての適性・資質という意味では物足りなく、プロとしてはどうかな?という印象は持っていました。

 ミットをしっかり示し、グラブを下げてしまう癖があったのですが、AAA選手権の頃には降ろさなく修正。そのためワンバウンド処理にも素早く反応できるようになり、キャッチングミスも減ってきたように思います。元々勘の好い選手なので咄嗟の反応などもよく、柔らかいミット捌きに、ボール一球一球の押し込みもしっかりしたものがあります。ただ時々集中力を切らし、つまらないミスをする時があります。この辺がなくなると、投手からも信頼を得ることができるでしょう。

 横浜高校の高度な作戦を理解し、実戦できる頭脳を持っています。そのため相手の弱点を突き、時には強引なぐらいのリードをしますが、以前よりはオーソドックスでバランスの取れたものになってきたように思えます。特別リードにセンスは感じませんでしたが、教えられたことを実行する能力とセンスはあるようです。あとは、それをいかに自分流にアレンジし、膨らませて行ける努力とセンスが磨かれるかだと思います。

 AAA選手権の時に改めて驚いたのは、強肩かつ安定したスローイングにあります。球筋が安定しているので、なんだか社会人あたりの選手のスローイングを見ているような安心感がありました。そのため彼の肩を警戒して、中々盗塁を仕掛けてきません。タイムとしては1.9秒前後でしょうが、実戦で能力を発揮できるという意味では、高校球界でもトップクラスのはずです。

 こうやって見てみると甲子園後もプレーに成長が感じられ、だいぶ捕手らしくはなってきました。本質的な部分で今でも、捕手としてはどうなのかな?という疑問は残りますが、完成度の高さという意味では高校球界でもトップクラスだと言えるでしょう。


(打撃内容)

 今年何度か、長浜の横浜高校のグランドにも足を運びました。やはりそばで見ていても、現時点での打撃能力は、同校で一番のものがあると思います。ただ最後の夏の大会は、リードに神経を使い過ぎたのか?打撃までは、力が注げなかったのだと思います。その能力は、AAA選手権でも全日本の一番を任されていたことからも伺えます。本質的には、広角に打ち返す中距離・ポイントゲッターといったタイプなのでしょう。

<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと取れているように思えます。打席では力みも感じませんし、ほぼ理想的だと思います。あとは、何か打席で凄みとか物凄く嫌らしいとかいうものを、相手に与えられるようになると言うことなしです。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈みきったときに始動する「平均的な仕掛け」を採用しています。これは、ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強い打撃を売りにする打者の仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆☆

 足を大きく引き上げて、真っ直ぐ踏み込んできます。足を上げてから下ろすまでの「間」は取れているので、いろいろな球に対応できます。夏の大会では、ベース側にインステップしていたのを、オーソドックスに真っ直ぐ打つ踏み出しに変わっていました。左の好打者タイプならば、真っ直ぐからアウトステップで踏み出す方が、打率は残しやすいのです。まだ本人としてはシックリ来ないかもしれませんが、そういったことを意識することは今後につながると思います。一番いいのは、打ちにゆくコースによって、踏み出す方向を変えられれば理想的なのですが。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレません。そのため体の開きも我慢でき、外の球にもキッチリ対応できます。以前のような巻き込み型の打撃ではなくなったので、破壊力は薄れました。対応力を重視するのか、得意球を確実に叩く打撃を重視するのかは、自分の目指す打撃の方向性・シックリ来るスタイルを選択すれば好いと思います。


<リストワーク> 
☆☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るのも、けして遅れていません。バットの振り出しも悪く無いですし、ヘッドも立ててスイングできており、スイング軌道にもロスを感じません。最後までしっかり振りきれていますし、技術的には問題はありません。

 ただ選抜~夏にかけて、あるいはこのAAA選手権にかけても、打撃での成長は感じられませんでした。元々打撃の資質の高さが売りだった選手だったので、そのことを考えると少々物足りないかなと言うのが正直なところ。彼の潜在能力を考えれば、こんなものではないだろと言う気もしなくはありません。


<軸> 
☆☆☆☆

 足の上げが大きいのですが、目線・頭の動きは大きくはありません。体の開きも我慢できていますし、軸足にも粘りが感じられ、ボールにしぶとくついて行けるタイプでしょう。

(打撃のまとめ)

 ボールに対応するという潜在能力はかなり高く、実際夏の大会では物足りなく見えました。もう少し打撃へも意識が持てる余裕がでれば、プロでも2割5分ぐらいは打てる潜在能力はあるのではないのでしょうか。

 ただ物凄くヘッドスピードが鋭いとか打球が強烈というよりは、上手く合わせる能力が優れています。またパンチ力はあっても、けして長打を売りにする選手ではありません。そういった意味では、捕手というポジションだから、許される打撃なのだと思います。したがって彼の場合は、捕手であるということを第一に重きを置いた上での評価となります。けして将来的に他のポジションへコンバート、そういったことは考えにくいはず。

(今後は)

 高度な野球に対応できる野球頭脳とセンスは、持ち合わせていると思います。キャッチングやリード面の成長もあり、スローイングも高校生離れしているので、一年目からファームでもある程度試合を任せられるのではないのでしょうか。

 また打撃は、ディフェンスに余裕が持てるまでの数年は、目立った成績は残せないかもしれません。しかし潜在能力はあるので、いずれは一軍でも2割5分前後ぐらいは残せる能力はあると評価します。

 ただ捕手としてのスケールや凄みはないので、正捕手を担うというよりはチームの2番手・3番手あたりの位置づけに落ち着くのではないのでしょうか。あとは、言われたことだけをこなすのではなく、いかに貪欲に教えてもらったことを膨らませて行ける努力とセンスがあるかで変わって来ます。

 ただ貪欲に新たなものを吸収しようという意欲があり、それをこなすだけのセンスは持っていると思います。夏の大会が終ってもなお、次を見据えたプレーができていましたから、評価を上げて指名リストに入れてみたいと思います。もし出てくるとすれば、高卒でも3年、4年ぐらいで一軍を定着を実現できるかもしれません。



蔵の評価:



(2011年 AAA選手権) 









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