11ky-25
駒月 仁人(塔南)捕手 176/85 右/右 |
「銀仁朗には劣るけど!」 京都出身の大型捕手・銀仁朗(西武)の高校時代に比べれば、スケールでは劣るけれど、強肩・強打の捕手という意味では、彼を彷彿とさせる選手。ただ残念ながら、最後の夏は一回戦で破れてしまい、その成長を確認できないまま終わってしまった。下級生の時のレポートと動画などを参考に、今回は寸評を作成して行きたい。ただ今年は、実際に試合の模様を確認できていないので、評価づけができないことはご了承願いたい。 (ディフェンス面) 強気なプレーで、ガンガン引っ張って行く攻撃型捕手。ミットを軽く示した後、グラブを下げないで捕球するので、低めの球への対応は遅れません。。打球への反応・フットワークも悪くないのですが、ちょっと小手先だけでボールを捕りに行く傾向が気になりました。一球、一球しっかりボールを押しこんでキャッチングできるなど、ディフェンス力は想像以上のものがあります。二塁までのスローイングも、1.85秒前後を記録するなど、地肩自体はかなり強いのですが、制球に課題を残します。捕手としての気遣い、大胆さだけでなく冷静なリードができるかなど、捕手的適性を兼ね備えているのかは疑問が残ります。下級生までのプレーを見るかぎりは、いずれは他のポジションへコンバートされるのではないかと感じました。 (打撃内容) 高校通算24本塁打を記録し、右方向にも大きな当たりを打てる特徴があります。特に抜群のヘッドスピードを生かしたスイングには、下級生の時から光るものがありました。京都成章時代に倉義和(広島)を指導した監督が、「打撃では倉より上」と称するのは頷けます。完全に、オフェンスを全面に出したタイプの捕手と言えるでしょう。 <構え> ☆☆☆☆ 前足をしっかり引いて、グリップの高さは平均的。腰の座り具合もよく、両目で前を見据える姿勢も悪くなく、全体のバランスの取れた好い構えだと思います。打席でも、強打者の雰囲気がプンプン臭ってきます。 <仕掛け> 早めの仕掛け 投手の重心が下がるときに始動する「早めの仕掛け」を採用。仕掛けの観点からすれば、アベレージ打者の傾向が強いのがわかります。実際下級生の頃から強打者と知れ渡っている割に、通算本塁打24本と意外に少ない気が致します。実際スイングを見ていても、ボールを遠くに運ぶというよりは、強烈な打球が野手の間を抜けてゆくタイプであるように思えます。ただバットが遠回りに軌道するので、右方向に打った打球に関しては、ボールがグングン伸びてゆくのではないのでしょうか。引っ張った打球は、あまり上がらないタイプなのでは? <足の運び> ☆☆☆ 足を早めに引き上げて、回し込んで踏み込んできます。このことからも、始動~着地までの「間」があり、いろいろなタイミングに合わせることができます。真っ直ぐ踏み込んで来るので、内角でも外角の球でも捌きたいと言ったタイプです。特に右方向には、打球が伸びて行く傾向があります。ただ残念なのは、スイングは外回りな軌道でたどる割に、踏み込んだ足元はいち早く地面から離れたりブレたりします。ですから元来は、真ん中~内角よりの球を引っ張る打撃をしていますが、外角でも高めの球ならば、前で捌いて右方向に飛ばせるようなのです。 <リストワーク> ☆☆☆ 打撃の準備である「トップ」の形は、早く作れています。ただかなりバットを中村紀洋(現ベイスターズ)のように回し込んで打ちにゆくので、余計な動作が多いように見えます。またバットの振り出しも、肘が下がってボールを捉えるまでに遠回りです。 ただボールを捉えてからのスイングの弧は意外にコンパクトであり、フォロースルーも生かしているわけではありません。やはりスイングの形を見ても、仕掛け同様にホームラン連発というタイプではなさそうです。 <軸> ☆☆☆ 足の上げ下げはありますが、それほど目線は動きません。ただ足元のブレが押さえ込めず、体の開きが我慢できません。軸足にも強さは感じられ、唯一長距離打者の片鱗が見られるのは、この部分だけでした。 (打撃のまとめ) 「仕掛け」の早さ、スイング軌道やフォロースルーの形からしても、強打者ではあるのですが長距離打者ではないと考えます。そういった意味では、ホームラン連発だった銀仁朗(平安)の高校時代に比べるとスケールでは劣る気が致します。 タイミングの合わせ方は悪いと思いませんが、バットの振り出しの悪さ・アクションの大きな動作などを見ていると、その粗い打撃を改善するのには時間がかかりそうです。ただスイングは強いので、プロの球でも力負けはしないのではないかと思います。課題は、スイング軌道と足元の盤石さではないのでしょうか。 (最後に) ディフェンス力に関しては、そんなに銀仁朗の高校時代と大差を感じません。しかしその銀仁朗が打撃で苦労するというのは、私としては想定外でした。駒月に関しては、打撃を生かして、いずれは他のポジションへの可能性も高く、その時にどんな特徴を持っているのかがポイントになりそうです。先にも述べたとおり、打力はあってもホームランがでない、守るところがないとなると、なかなかチャンスは限られてしまいがちです。自分の武器をいかに磨いてゆくのか、これからの進化に期待したいですね。最終学年のプレーを確認できなかった分、ぜひファームの試合で確認できたらと思っています。 |
駒月 仁人(京都・塔南)捕手 175/78 右/右 |
(どんな選手?) 昨夏は、すでに1年生ながらスタメン出場。強打・好守の捕手として、なかなか目立つ存在でした。 (ディフェンス面) ミットを軽く示した後、下げないので低めの対応は悪くありません。打球への反応・フットワークも悪くないのですが、ちょっと手先だけでボールを捕りに行く傾向があり、その辺が気になります。一球、一球しっかりボールを押しこんでキャッチングできるなど、ディフェンス力はなかなかものがあります。地肩についてはよくわからなかったのと、強気な内角攻めが、裏目にでるなどリード面にも課題を残しておりました。どちらかと言うと、イケイケの積極型なので、もう少し大胆さだけでなく、慎重さも加わればと思います。 (打撃内容) 1年生ながら、なかなかヘッドスピードも基準レベルありました。その力強いスイングからも、速球には強いと思うのですが、昨夏の時点では変化球への対応が劣っておりました。この一年間で、どのぐらい対応できるようになったのか気になるところです。 (今後に向けて) 地肩がどのレベルなのかはわからないのですが、打撃・ディフェンスレベルは有望です。変化球への技術向上が観られれば、最終学年では京都屈指の捕手として注目されるのではないでしょうか。今後も大いに期待して見守りたい選手の一人でした。 (2009年・夏) |