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宋 相勲(中日)のルーキー回顧へ




宋 相勲(18歳・福井工大福井-韓国・信一高校)投手&外野 190/93 右/右 





           「投手より野手として評価されているんじゃないか?」





 福井工大福井時代の活躍を見ると、宋 相勲(そん さんふん)は、投手よりも外野手としての能力を買われているのではないかと思うのだ。彼の打席を一打席だけ確認できたが、パワフルな打撃をする強打者だった。

(経歴)

 中学時代は、ソウル代表として活躍。その能力を買われてか、2008年~2010年春まで、福井工大福井で野球留学。MAX142キロのストレートと多彩な変化球を織り交ぜる本格派として注目されるも、制球力に課題があり公式戦での登板はなかった。2年夏に代打の一打席のみ出場。しかし秋から4番・右翼手として活躍し、チームを北信越大会ベスト4まで導いだ。

 しかし大腿骨を痛めたために、翌年の春に帰国。怪我の回復後は、韓国の信一高校でプレーして、8月に韓国LGからドラフト8位で指名された。しかし本人は、日本でのプレーを希望しこれを拒否。日本のドラフトで、この秋中日から6位指名を受ける。球団は、パワフルな体に柔軟性を兼ね備えた素材として高く評価。外国人枠撤廃までには3年間かかるが、その頃に育成期間が終わるとして、ドラフト指名に踏み切った。


(打撃フォーム)

 実際身のこなしを見るかぎり腕っぷしの強さは感じますが、それほど動けるタイプには見えません。まあ投手をして140キロ台を記録するように、強肩ではあるのでしょうが。恐らくNPBでも左翼か一塁要員になるのではないかという印象を受けました。もちろんこれは、守備も試合の模様も見ていない人間の第一印象でしかありませんが。

<構え>

 前足引いた右オープンスタンス。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、腰も据わり両目で前を見据える姿勢も悪くありません。ただバランスは取れているのですが、スイング自体からは柔軟性を感じるタイプではなく、むしろゴツゴツしていて硬い印象を受けます。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 投手の重心が下がりきった時に、開いていた足をベース側に持ってきて爪先立ちします。そこから、リリース前後ぐらいに始動し始める「遅すぎる仕掛け」を採用。破格の体格から繰り出すパワーから、ある程度遅くても対応できるとしても、プロのスピードには苦労することが予想されます。

<足の運び>

 足のカカトを上げて下ろすだけの踏み込みですから、「体重移動」がままならないスイング。すなわち、ボールを線で捉えるのではなく点で捉える打撃です。そのためボールをよ~く引きつけて、狙い球を逃さず叩く打撃が求められます。

 少しベースから離れたアウトステップを採用し、腰が早く逃げて引っ張る打撃を得意とします。その一方で、外角への捌きや右方向への打撃が課題となります。

<リストワーク>

 打撃の準備段階である「トップ」を作るのは平均的。ただバットの振り出しは、肘が下がって少し体から遠回りに振り出されます。そのため対応力には、課題を感じずにはいられません。

 ただインパクトの際の押し込みは強く、フォロースルーもある程度使えるので、ボールを遠くに運ぶパワーは感じられます。

<軸>

 足の上げ下げは小さいので、目線は安定しそう。ただ、体の開きが我慢し切れないのがどうだろうか?軸足には強さが感じられるだけに、ボールを遠くに運べる力強さが感じられる。


(最後に)

 典型的な粗けずりなパワフル打者といった感じだが、仕掛けの遅さ・フォロースルー・軸足の強さなどを見ると、長距離砲に成り得る素材だと言えよう。ただ引き手が強すぎるタイプなので、ボールが上に上がる確率が低そうな感じもするのが気になるところ。

 課題は、プロの世界で数字が残せるだけの対応力を身につけられるのかということ。中日は過去に瀬間仲ノルベルトや櫻井嘉実などの失敗もあるだけに、不安といえば不安ではある。

 どうも調べてみると、投手としての活躍は殆ど聞かず、野手としての話ばかりだ。恐らくその打力を買っての評価ではないのだろうか。詳しいことはわからないが、ぜひ来年は何処かでそのプレーを確認してみたい。