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松田 遼馬(26歳・ソフトバンク)投手の藁をも掴む!へ







松田 遼馬(阪神)投手のルーキー回顧へ



 松田 遼馬(波佐見)投手 183/83 右/右
 





                    「ピンチになるほど強い男!」







 大会前から、プロ注目の逸材として期待の高かった投手。しかし本番で、ここまで魅力溢れる投球をしてくれようとは、多くの人が思っていなかったはず。期待以上の投球に、思わず唸らされた選抜での快投。今回は、そんな爽快感溢れるナイスガイを取り上げてみたい。


(何を持っているのか?)

 コンスタントに145キロ前後のストレートを投げ込み、その一球一球が、実に球威があって力強い。彼の第一印象は、身体にも球にも、実に馬力があって頼もしいという事。

 そして彼の最大の魅力は、ランナーを背負いピンチになればなるほど、勝負どころではズバッと最高の球が決められるハートの強さにある。好い投手と悪い投手との別れ目は、まさにこういったところに集約される。そういった意味では、この投手は掛け値なしに素晴らしい。


(投球スタイル)

 かなり重心の沈ませながら、スリークオーターの腕の振りで投げ込んでくる。そのストレートは、コンスタントに145キロ前後を記録し、MAXで148キロまで到達。ただ球速があるだけでなく、非常に球威があり、その球を打者の内角に厳しく投げ込んでくる。変化球は、独特の軌道を描くカーブがひとつ投球のアクセントになっていて、スライダー、シンカーなどの変化球も交える。それらの球を両サイドに投げ分けながら、打者を詰まらせるか見逃しの三振をズバッと決めて討ち取るのことを常としています。

 この投手が素材型と言い切れないのは、牽制・クィック・フィールディングなど投球以外の部分にも課題はないところ。そして勝負どころでは、最高の球が行くように、普段の投球とのメリハリがつけられるから。一見やみくもに力一杯投げているように見えるが、実はそうではないと言うところに、単なる素材型とは一線を画すところとなる。


(それでも物足ないところがある)

 やはりプロで投げることを想定するのならば、甘い球も少なくないしし、投球も一辺倒なところが伺える。この選手を見ていて気になるのは、持っている引き出しが少なく、限られたものの中でしか勝負できていない点。もう少し具体的に言えば、緩急を効かせるような上のレベルでも通用するような本物のカーブを修得できるのか?空振りを奪えるような縦の変化球を修得できるのかといった将来への不安があげられる。またその投球にも「間」と言う時間概念に欠ける傾向にもあり、投球の幅が狭い。その辺を、将来に向け改善して行けるのかと言う疑問が捨て切れない。その疑問の答えを見つけるには、投球フォーム分析することだと考える。


(投球フォーム)

 プロでも使えるような、見分けの難しい腕の振りを身につけられるのには、引き上げた足をピンと伸ばした時に、お尻が一塁側に落ちるようなフォームかどうかが、一つ大きなポイントになる。そういった意味では、この選手は身体を前に倒れ込むような投球フォームであり、お尻を落とすことができていない。お尻を一塁側に落とせないと、身体を捻り出すだけのスペースが確保されないために、見分けがつきにくいカーブの修得や縦に腕を振り下ろすフォークなどの縦の変化球の修得が難しくなる。仮にそれが可能だったとしても、身体への負担が大変大きく、故障になりやすいフォームなのだ。

 ただ好い変化球を修得して行くためには、もう一つ大きな要素がある。それは「着地」までの時間を稼ぎ、身体を捻り出すだけの時間を確保すること。この点に関しては、あっさり地面を捉えないようにする粘りを、彼の投球フォームでは作れていない。そのため空振りを誘えるような、武器になるほどの変化球の修得は厳しいかもしれない。ただ現時点のように、見せ球として変化球を活かして行くことは、充分可能だと判断する。

 結論からいうと、彼の投球の大きなアクセントになっている独特の縦軌道のカーブが、プロの打者相手には見破られて使えない可能性が高いこと。そしてシンカーなどの縦の変化球もあるのだが、この球ではプロの打者相手に狙って空振りを取れるほどのキレはなく、決め手に欠ける危険性を感じずにはいられない。

 そのため将来的にも、一辺倒な投球の改善や投球の引き出しの少なさを改善して行くことは、かなり厳しいのではないのかと言う結論に至ることになる。


(プロでの将来像を考える)

 したがって私が考えるには、この投手がプロで大成するとすれば、やはりリリーフではないかと考える。ピンチになればなるほど強さを発揮する強心臓は、まさにプロの修羅場向き。更にストレートに磨きをかければ、プロの打者相手でも、力で押せるだけの球威を身につけられるのではないかと言う期待が持てる。だから彼の将来に不安を覚える部分もあるのだが、その働き場所次第では、充分に才能を活かせる場があると評価する。

 活躍の場が限定されること、今後への不安も拭いきれないことを考えると、その評価は、3位前後と言うところまでで、選抜の時点では留まるのではないのだろうか。夏までに更なる成長が見込めれば、上位指名も充分期待できるだろう。春から夏に向けての更なる成長を、期待してやまない。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2011年 選抜大会)