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田島 慎ニ(中日)投手のルーキー回顧へ




田島 慎二(東海学園大)投手 178/79 右/右 (中部第一出身) 
 




                  「スカウト集結!」





ドラフト直前に控えた秋のリーグ戦において、スカウトが集結している逸材がいると密かに話題になっているのが、今回ご紹介する 田島 慎二 。ガッチリした体格から投げ込まれるストレートのボリュームは、まさにプロの素材だった。



(投球内容)

残念ながら、私が観戦した試合では、リリーフで打者3人を投げただけの投球。そのため、その投球もすべてストレートだった。変化球に関しては、別の試合の模様を撮影した方の動画で、その内容を確認できたので、参考として使わして頂くとしよう。

ストレート 常時140キロ台~MAX93マイル(148.8キロ)

この日の登板は、すべてストレートのみ。いつでも145キロ前後なら出せる力があり、そのボールには球威と勢いが感じられ、まさにプロのストレートと言う迫力が感じられる。このストレートを観ただけでも、この選手ドラフトで間違いなく指名されるなという迫力がある。

変化球 スライダー・チェンジアップなど

実際に生では確認できなかったのですが、動画を見る限り変化球も素晴らしいです。外角低めに決まるチェンジアップは、タイミングが狂わせられるだけでなく、落差があり空振りが誘えます。またスライダーもカウントを稼ぐ小さく横滑りするものと、縦に鋭く切れ込んで空振りを誘うような二種類のスライダーがあるように思えます。いずれにしても、単にカウントを稼ぐと言うだけでなく、狙って空振りを取れる変化球を持っているところは、非常に大きいと言えるでしょう。

その他

牽制なども鋭く、私が観た動画では二塁牽制でアウトにしていました。またクィックなどもタイムは計測できませんでしたが、しっかりできる選手です。フィールディング等よくわかりませんでしたが、動きの良い選手なので下手だと言うことはないと思います。そういった運動神経には、優れた選手ではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

グランドを観れば、一目でこの選手が田島なのだなとわかるほど存在感があります。堂々としていて、オレ様タイプの投手らしい投手です。

投球を見る限り、それほど細かい制球力があるわけではなさそうですが、それだからといって制球に苦しむほどではなさそうです。ただ「間」を取ったりとか、打者との駆け引きをというタイプではなく、球の威力で押すリリーフタイプだと考えて良さそうです。完全に力投派で、かなり気持ちで投げるタイプの投手ではないかと思います。



[高画質で再生]

田島 慎二(東海学園大)投手 [アフィリエイト] 


(投球フォーム)

ランナーがいなくても、常にセットポジションから投げ込んでいるようです。少しスリークオーター気味のフォームなのですが、返ってそれが独特のイヤらしさを作り出しています。

<広がる可能性>

引き上げた足を、高い位置でピンと伸ばしているので、お尻は無理なく一塁側に落とせます。そのため腕の振りが緩まないようなカーブで緩急を付けたり、落差のあるフォークのような球を修得することが期待されます。しかし実際には腕の振りが縦振りではないので、そういった球を投げるのは難しいでしょう。

ただそれでも「着地」までの粘りも悪くないですし、いろいろな球種を覚え投球の幅を広げて行くことが期待できると思います。フォークを投げない分、チェンジアップや縦のスライダーで、充分その代用もできています。

<ボールの支配>

グラブを内に最後まで抱えることで、両サイドへの制球にも優れます。そのため勝負どころでも、内角でも外角にでもズバッと大胆に決める爽快感があります。足の甲の押しつけは、それほど長く押しつけられてはいないようですが、ボールは上吊ることは少ないようです。また「球持ち」も思ったほど悪くなく、速球派ですが制球を大きく乱すことは少ないのではないかと思います。ただ私の観た試合では、めい一杯ストレートを投げ込むことが終始していたので、かなり制球はアバウトな印象を受けました。ただそういった無理な投球をしなければ、それなりに制球もまとまっていることが動画からは確認できました。

<故障のリスク>

元々お尻を落とせるので、身体を捻り出すスペースを確保。更に「着地」までの粘りも悪くないので、その時間の確保もでき無理がありません。腕の振りもスリークオーターで角度をそれほどつけていないので、力投派でも負担の少ないフォームをしています。かなり無理の効く、タフな活躍が期待できるタイプではないのでしょうか。またそれに応えるだけの、身体の強さがこの選手にはあります。

<実戦的な術>

「着地」までのタイミングも悪くないですし、身体の「開き」も早くありません。またスリークオーターの腕の振りから一気にボールが出てくるので、かなり打者としては差し込まれやすいフォームだと考えられます。

腕も強く振られており、速球と変化球の見極めも難しいでしょう。そのため縦の変化でも、しっかり空振りが取れています。足の甲の押しつけが短めで、下半身のエネルギー伝達が物足りません。そのためもっと「体重移動」を上手く行い、ボールにウエートを乗せることも可能ではないかと思います。ただ発展途上の今のフォームでも、これだけのボールが投げられるわけですから、更に効率的なフォームを身につけたら、ちょっと手がつけられないボールを投げ込むようになるかもしれません。

(投球フォームのまとめ)

「着地」「開き」などの観点からも、打者から合わせやすいフォームでは、けしてありません。更に指先の感覚が良さそうには見えませんが、制球を司る動作も悪くないので、制球にも破綻のない投手だと考えられます。

しいて言えば下半身のエネルギー伝達に課題を残しており、更にストレートを磨ける余地が残されていると言うこと。すでにプロでも力で押せるレベルの球を投げ込んでいるのに、更に上積みが期待できる素材は、非常に魅力的だと言えるでしょう。





(最後に)

実際に生で確認できたのは、そのストレートが本物だと言うこと。また別の試合の動画を見ることで、変化球レベルも確かなものがあることが確認できたこと。更にフォーム分析をすることで、かなり実戦的かつ制球にも破綻のフォームであることがわかったことは、実際観た印象以上に、好感の持てるものでした。

現状はまだ、それほど細かい投球ができるわけではないので、リリーフに限定されるタイプでしょう。しかしリリーフならば、一年目から活躍できるだけの能力があると評価します。球に力があるだけでなく、三振も奪える投球を観ていると、2年目ぐらいからチームのクローザーへの期待も高まります。これは、かなりの掘り出しものに成り得るのではないかとないかと評価します。まあまだわからない部分もあるのですが、実際のドラフトでも3位前後級での指名に。更にプロでの活躍では、その順位以上の期待をもできる器ではないのでしょうか。非常に面白い素材だと思います。


蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級)
 

(2011年 秋季リーグ戦)












去年の春に一部の試合で一度観ているのですが、その時は力任せに投げている感じでした。初回は144キロ出ていたのが4回には5キロほど落ちており、フォームも堅かったのですが、この日は見違えるようによくなっていました。

 ストレートは最速で146、常時142,3を計測していました。基本スリークォーターですが、稀に腕を下げて投げることもあります。クイックや牽制はまずまずです。

 変化球はスライダーとチェンジアップがあり、スライダーは精度が高いです。右打者にはスライダーで追い込んでアウトローにストレート勝負、左打者にはアウトローのシンカーぽいチェンジアップを振らせていました。特に右打者のアウトローの速球は素晴らしい伸びでした。

 制球も上達しており、ほとんどが低めに決まりますし、球威があるので打球が飛びません。序盤はストレート主体で3回までに5奪三振。2回り目はやや抜いてきて凡打の山を築く投球でした。9回にも143を計測するなど、球威は衰えませんでした。

 許したランナーは死球(避けなかったため)とセンター前へのヒット1本のみ、詰まったフライに突っ込んだセンターが大きくはじいてツーベースにしてしまったものです。三振8、ゴロアウト16、フライアウト3で、中盤以降はほとんどが詰まった内野ゴロで、フライも外野の定位置よりも前のものばかりでした。

(2010年 4月11日 kimi 氏)