11dp-22





木谷 良平(ヤクルト)投手のルーキー回顧へ







 木谷 良平(日本文理大)投手 181/85 右/右 (小倉高出身)
 




              「正直何処かいいのかわからない?」





ドラフト会議が行われた翌日、私は福岡ドームで行われていた神宮大会九州代表決定戦に足を運んだ。そこには、前日にヤクルトから2位指名された 木谷 良平 がいたからだ。木谷を見るのは、2年前の大学選手権以来。その時は、常時145キロ前後~MAX148キロのストレートを投げ込み、フォークとのコンビネーションで異彩を放っていた。しかしこの日の投球では、その日の面影は全くなかった。

(投球内容)

この日は、めまぐるしく代わる文理大投手陣の中で、終盤3イニングを投げました。

ストレート 135キロ~MAX88マイル(140.8キロ)

この日の木谷には、ボールに驚くような球威・球速・キレは感じられず。特に前の試合から1週間ぐらい開いているため疲労がという状況でもないし、この秋の話を聞いても常時130キロ台後半~出ても145キロ弱程度と、2年前の大学選手権で魅せた145~148キロ級の勢いはないとの話を事前に聞いていました。正直、球威・球速・球のキレともイマイチで、彼をこの試合で初めて観た人には、何が好いのかさっぱりわからなかったと思います。

変化球 スライダー・フォークなど

スライダーやフォークなどもあるようですが(実際にフォークは結構多投していました)、空振りを誘えるほどのキレはなく、細かいコースの投げ分けもできずアバウトですし、ボール全体が高めに集まるなど、正直いいところがありません。もともと低めで落ちるフォークな多投していましたが、その時から精度は低く、発展途上の球でした。今もその傾向は変わらないように思います。

その他

非常に牽制は上手い選手で、クィックは1.2秒前後と基準レベル。そのためランナーの進塁は、容易に許しません。マウンドでは割合落ち着いていて、まとめる能力もあるのかなあと思ってみていました。しかしランナーを背負うと味方から「イライラするなぁ」とか声がかかるなど、けして冷静なタイプでもない模様。実際イニング間のキャッチボールでも、集中力に欠けているなぁという印象も受け、悪い時に悪いなりといった投球もできず心配です。

(投球のまとめ)

球の勢い・球速に関しては、以前はMAX148キロを記録するなど勢いがあったので、それほど気にしておりません。しかし細かい制球力・変化球の精度・冷静さや集中力を欠く投球には不安を感じずにはいられません。そういった意味では、即戦力として活躍するのは厳しいのではないかと思います。





(投球フォーム)

<広がる可能性>

引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせており、お尻を無理なく一塁側に落とせております。これにより身体を捻り出すスペースが確保でき、腕の振りが緩まないようなカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちるフォークの習得も期待できます。「着地」までのタイミングも悪くなく、身体をひねり出すための時間も確保できています。そのため、いろいろな変化球を習得できる可能性が高いのですが、実際には変化球の曲がり・精度がイマイチなのは何故でしょうか?

<ボールの支配>

グラブは最後まで内に抱えれており、両サイドの制球は安定しやすいはず。足の甲での押しつけもできており、ボールが上吊る心配はありません。また「球持ち」も悪くなく、元来は制球もいいはず。しかし私が観戦した試合では、制球はとても不安定でした。

<故障のリスク>

お尻を無理なく落とすことができているので、体への負担は少なそう。ただフォークを多投するので、肘への負担は少なくないはず。腕の角度にも無理は感じないので、肩への負担は少ないとは思いますが。明らかに大学選手権で観た時よりも内容が悪化していたことを考えると、この秋は何処か痛めていたのではないかと心配になります。まして2位指名で評価された選手だけに、これが本来の出来だとは思えません。

<実戦的な術>

「着地」までの粘りも悪くないので、体の「開き」も早すぎることはありません。振り下ろした腕はしっかり絡んできますので、腕の振りが緩む心配もありません。「体重移動」も悪くないので、元来はもっとボールに体重が乗せられるはずだと思います。

(投球フォームのまとめ)

投球フォームを見るかぎりは、欠点らしい欠点はなく、むしろ理想的なフォームとも言えるぐらいです。しかし実際の投球は全く逆で、何か故障を抱えての投球だったのは間違いないと思います。投球フォームに関しては、今年の候補でも屈指というぐらいのレベルにあります。

(最後に)

下級生の頃の勇姿を知っているだけに、今回の投球は合点が行きません。しかしフォーム技術の高さは特筆もので、しっかり立て直すことができたら、リリーフ投手としての活躍が期待できます。

ただこの試合を見るかぎり、球の勢いが悪かっただけでなく、制球・変化球・投球術にも課題があり、マウンドでも冷静さを欠くなど、いいところが全くないといった内容でした。久々に魅せられた投球がこれでは、残念ながら指名リストに名前を載せる評価はできません。

まずは、調子を取り戻すことが絶対条件。そうしない限り、プロで活躍することは考え難いです。それでも2位で指名されたその実力を、ぜひプロ入り後確認してみたいものです。


(2011年 秋)









木谷 良平(日本文理大)投手 180/85 右/右 (小倉高出身) 

(どんな選手?)

 大学選手権の龍谷大戦に登板した投手の中でも、個人的には一番良い球を投げていたのは、この投手ではないかと思った。速球に勢いがあり、球威も兼ね備えボリューム感のある球を投げ込んでいたのだ。2年後のドラフトが、非常に楽しみな存在ではないのだろうか。

(投球内容)

 ランナーがいなくてもセットポジションから投球。常時145キロ~MAX148キロの速球には、ボリューム感だけでなく球筋が常に安定していた(実際には四球も出してはいたが)。変化球は、まだ精度の低いフォークとのコンビネーション。もう一つ確実にストライクの取れる変化球を身につけたい。クィックなども鋭く、現状は試合を作ると言うよりは、速球とフォークなどの少ない球種で相手を牛耳るリリーフタイプなのだろう。

(今後は)

 球に、球速表示に負けない球質があるのが魅力。今後も心身ともに鍛えて、投手としての総合力を高めて行って頂きたい。ただ2回戦の九州国際大戦では、かなり球速が落ちているなど連投が効きにくいタイプなのか?それとも肩の仕上がりが遅いタイプなのか、あまりリリーフ向きではないのかなと思う部分も。また球速がないと、フォームが合わせやすい部分もあり、ストレートが走らない時に、それなりに対処出来る術を身につけることが今後の課題だと思います。ただ持ち得る球には良いものがあるので、今後の成長に期待したいですね。

(2009年・大学選手権)

 




 小倉のエースで4番の中心選手。ちょっともっさりしたタイプではあるが、135キロ強の速球に、カーブ・スライダーなどを投げ込んで来る。MAXは、143キロに到達しており、繰り出される速球は、球威があって力強い。その力強い球で、結構内角を突くのも身上。非力な打者では、打ち返すのは厳しいだろう。

 長打力を含めた強打にも見るべきものがあるが、プレーにキレやスピード感に欠けるのが欠点。また打ち終わった後、大きくバランスを崩すところが気になる。今後は、やはり投手としての才能を磨くべきだろう。まだまだ球速も出るだろうし今後も野球を続けて行けば、もっと注目される存在に育つかもしれない。すべてのプレーに、もっとキレが欲しい。そうすれば、馬力のある選手だけに、将来楽しみだ。

(2007年・夏)