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高木 京介(巨人)投手のルーキー回顧へ



高木 京介(国学院大)投手 181/82 左/左 (星陵出身) 
 




                   「まさか志望届けを提出するとは」





 春のリーグ戦では、秋の内容次第では指名あっても不思議ではないと、評価保留にしていた投手。しかしこの秋観戦した試合では、初回こそ良かったがイニングが進むにつれ内容が悪化。これでは指名はないと思って球場をあとにした。そんな 高木 京介 だが、今日プロ志望届けを提出し、プロ入りへの強い意志を表明した。


(投球内容)

 左のスリークオーターから、キレのあるストレートと、変化球を投げ込む好投手。好い時はテンポよく心地の好いリズムを刻むが、精神的に余裕がなくなると制球を乱したり、勝負どころで甘くなる傾向が強い。

ストレート 常時135~MAX89マイル(142.4キロ)

 この秋観戦した試合では、初回は常時140キロ台を超えてきて、完全復活かと思わせるような素晴らしい球を投げ込んできた。キレだけでなくボールに勢いがあるので、打者も完全に差し込まれる勢いがある。しかし2イニング目からは、その球速・勢いに陰りが見え、突然制球まで乱し、悪い時の高木に戻っていた。

変化球 カーブ・スライダー・スクリュー

 左腕らしい大きなカーブに、横滑りするスライダーにもキレがあり、スクリューと言うかシュートのような球を投げ込んでくる。カーブでしっかりカウントを取り、緩急も効かせて投球が一辺倒にならないように心がけていた。

 また春の観戦では、カットボールやツーシーム系の微妙な変化球もあると記載されている。この試合を見るかぎり、ツーシーム系のボールは確認できたが、どれがカットボールなのかまではよくわからなかった。

その他

 左投手らしく、鋭い牽制で走者を威嚇。クィックも1.05~1.15秒以内にまとまめられ、ランナーの進塁を許さない。フィールディングも際立って上手くないが、基準を満たすだけのものがあり問題はない。

(投球のまとめ)

 初回に魅せた素晴らしい投手は、まさにプロの投球。この投手、本当に好い時は、テンポ・球のキレ・コンビネーションも冴え渡って「岩瀬仁紀(中日)二世」になれるのではないかと思える時さえある。

 ただ一度そのリズムが崩されたり、精神的に余裕がなくなってくると、一気に崩れてしまう欠点は春から変わりなかった。少なくてもこの選手が活躍するとするならば、短いイニングでだろう。

 ボールがキレ型なので、甘く入ると長打食らう球威の無さが気になる。その一方で、打者の空振りを誘いやすい球質であり、左スリークオーター独特の左打者の背中越しから来るような独特な球筋を持っている。

 いずれにしても、もう少し好不調をの波を無くし安定感を身につけないと、なかなか指名へのGO.!サインは出しにくい。ただ好調時の球を見てしますと、上手くハマルと面白いのになあと思えることも少なくない。



(投球フォーム)

 では、これだけの球を持ってして打たれてしまうのは、単に精神的な問題だけなのか?投球フォームの観点からも考えてみたい。

<広がる可能性>

 引き上げた足を、比較的高い位置でピンと伸ばすので、思ったよりもお尻は三塁側(左投手は)に落とせていた。そのため腕の振りの緩まないカーブや縦の変化も期待できるだけの、体を捻り出すスペースを確保できている。

 ただ残念なのは、腕の角度がスリークオーターで下がっている投げ方なので、縦の変化を投げにくい腕の振りなのだ。それでも「着地」までの粘りもあり、体を捻り出すだけの時間を確保。これにより、いろいろな変化球が投げられる下地ができている。将来的にも、多彩な変化球で相手を翻弄して行くことが期待できそうだ。

<ボールの支配>

 グラブを最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けはできている。足の甲も深く押しつけられているのだが、膝小僧に土がついてしまうほどなので、充分その効果が得られない。また「球離れ」が意外に早いので、指先の感覚が悪く、細かい制球がつきにくいのだろう。思いの他四球が多いのは、こういった理由からかもしれない。

<故障のリスク>

 体を捻るスペースを確保して投げられているので、負担は少ないはず。振り下ろす腕の角度も低いので、肩への負担も少ないだろう。そういった意味では、故障に泣かされ難いフォームだと言う気がする。ただけして頑強な体つきな投手ではないので、アフターケアには充分注意してもらいたい。

<実戦的な術>

 「着地」までの粘りも悪くないので、体の「開き」も早くなく、けして打者から合わせやすいフォームではありません。それでも打たれてしまうのは、やはり勝負どころでのコントロールの甘さでしょう。

 腕の振りは、好調時には非常に鋭く振れて、速球と変化球の区別が難しいです。逆に腕が振れないと、打ち込まれてしまう可能性が高まります。この投手の生命線は、まさに腕の振りにあります。

 また膝小僧に土が着いてしまうほど重心が深く沈んでしまい、「体重移動」を阻害しています。そのためボールに体重を充分乗せられておらず、球威のある球が投げられません。もう少し重心の沈み込みを緩和させると、もっとストレートの勢いが出てくるのではないのでしょうか。そうすればキレのある変化球も、もっと生きてくると思います。

(投球フォームのまとめ)

 「着地」や「開き」の観点からすれば、タイミングが合わせやすいフォームではないはずです。ただ制球に関しては、力んでコントロールを乱す癖があるのも確かです。そのため「球持ち」をもう少し意識して。投げたいところ。「体重移動」も発展途上なので、今のままだと球速・質の向上は望み難いのですが、もう少し重心の沈みを緩和させることで、かなり改善は期待できるのではないかと考えます。


(最後に)

 プロとしては、精神的な弱さが気になるところです。ただ好い時は素晴らしいことを考えると、自信を持つキッカケを掴めば、ピンチでも自分の投球に徹しられる可能性はあると考えます。

 現状の内容から考えると、社会人あたりで2年後を目指す方が得策だと考えます。ただ育成枠でもいいからプロ入りをしたいと考えるならば、それもありかなと思えます。上手く導けられれば、プロでも左の中継ぎとして貴重な戦力になる可能性は充分秘めていると思います。

 ただここまでの内容を見るかぎりは、それに確信を持てるほどとは言えないので、評価としては指名リストから外させて頂きます。ただ育成なら指名もアリかなと思わせる、素材としての面白味はあります。さてそう考える球団があるのか?あるいは、育成でもプロ入りを決断するのか?ドラフト会議当日を、注目してみたいですね。


(2011年 秋季大会)









 高木 京介(国学院大)投手 181/82 左/左 (星陵出身)
 




                「なぜ打たれるのか?」





星稜高校時代は、この 高木 京介 を投手とよりも野手として評価していた。しかし高木は、国学院大に進学後は投手に専念することを決意する。その甲斐があって、東都でも下級生の頃から存在感を示すまでに成長。今や東都では、 ドラフトの目玉左腕である 藤岡 貴裕(東洋大) に次ぐぐらいの位置づけにある左腕。しかしこの投手、私が見る試合では素晴らしい投球を披露するが、別の試合では結構打ち込まれているケースが目立つ。今シーズンは、エースとして9試合に登板。2勝5敗 防御率 2.91の成績で、入れ替え戦に挑むことになった。貴重な実戦派左腕として、ドラフト候補にも名前があがる男。その打たれる要因について、今回は考えてみた。


(投球内容)


スリークオーターから繰り出す、キレの好いストレートと変化球のコンビネーションが光る。ストレートは、常時130キロ台後半~140キロ台前半ぐらいで、キレ型の球質のために甘く入ると球威・球速に欠け痛打を浴びやすい怖さを秘める。この投手の最大の良さは、右打者の外角低めに落ちてゆくスクリューボールと左打者の外角に逃げてゆくスライダーが、ストレートと同じ腕の振りで振られ見分けが困難なところ。高木の好不調のバロメーターは、いかに腕が振れているかにかかっている。

他にも、130キロ台のカットボールやストライクゾーンに逃げてゆくツーシーム。緩急を効かせるためのカーブなど実に多彩な球種を投げ、両サイドに散らせて討ち取って行く。好い時の高木は、それらの球で見事に相手を討ち取ってゆくのだが、どうもそれがいつもできるとは限ららない。


(成績から考えてみる)

今シーズンは

55回2/3イニング 41被安打 18四死球 40奪三振 防御率 2.91

通常成績を見る目安としては

1,被安打は、イニング数の70%以下 

今シーズンの高木の被安打率は、73.7%。基準である70以下とは行かなかったものの、極端に悪い数字ではない。多彩な球種で相手の的を絞らせないコンビネーションは、むしろ功を奏してようにすら思える。


2,四死球は、イニングの1/3以下 

四死球率は、32.4%であり、基準の33.3%にギリギリであるが、これも条件を満たしている。そう考えると不調の原因は、制球力の乱れからでもないようだ。

3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 

私が見ている試合だと、結構三振の山を築いているイメージがあるが、あまり奪三振率は高くない。奪三振率は、0.72個であり、通常三振が奪える投手は、1イニングあたり0.8個以上は奪っていないと、三振が取れているとは言えない。そういった意味では、スクリューやスライダーで三振が奪えているイメージがあるものの、基本は両サイドに散らせて討ち取るタイプなのだろうか?

4,防御率は、1点台が望ましい 

今シーズン終わってみると、防御率は 2.91 。けして被安打が極端に多いわけでもなければ、四死球が多いわけではない。しかし防御率が悪いと言うことはどういうことか?

ここからは推測だが、この投手の場合、三振を奪うことで投球のリズムを作って行くタイプではないかと言うこと。すなわち三振を奪えないで粘られると、勝負どころでの球が甘く失点に絡むような痛打や出してはいけない四死球を出すのではないかと想像するのだ。好調時で気持ち良く自分のリズムで投げられている時は、コントロールミスも少なく、実に安定した投球を披露。しかし三振が奪えず自分のリズムに乗れない時の投球は、根負けして甘く入ったり、四死球で余計なランナーを出して得点に結びつく。そんな悪循環に陥るのではないのか?そんな傾向があるのかどうかは、今後の観戦の際には注目してみたい。


(最後に)

実際の投球を見ていても、左スリークオータから繰り出す球は、左のリリーフ投手としては面白い。スライダーやスクリューと言う決め手になる球あり、コンビネーションが冴えている時は、プロでも充分やって行けるのではないかとさえ思わせてくれる。

ただピュッと手元で切れるキレ型投手の宿命でもあるのだが、球威がない分、甘く入ると怖い側面は否めない。精神的に余裕がなくなってくると、そういった傾向が強くなるのかもしれない。そうでなければ、好調時にここまでの投球をしている投手が、そう別の試合で痛打を浴びるような試合を繰り返すはずもない。マウンド捌きもよく、投球をまとめるセンスに優れているように観えるのに。

それかもう一つ気になる可能性を探るとすれば、何か大きな癖があって、それによって球種や傾向を見破られている可能性もあるのではないのか?そのため学校によって、癖が見破られている学校とそうでない学校との対戦に、大きな差が生じているのかもしれない。

いずれにしても、あらゆる可能性を模索して同じことを繰り返さないこと。ここに変化が見られれば、秋のドラフト指名があっても、全然不思議ではない距離にいる投手だ。あえて秋まで追いかけて、最終的な判断を下したいと思う。



蔵の評価:追跡級! 


(2011年 春季リーグ戦)





高木 京介(石川・星稜高)投手&右翼 181/79 左/左





            「松井秀喜2世は、アベレージヒッターだった!」





 1年生の頃から、名門・星稜高校の中心選手として活躍。同校の偉大なる先輩で、同じ左打ちの松井秀喜(巨人-ヤンキース)外野手と、何かと比較されることが多かった。しかし歴史的スラッガーであった先輩とは違い、高木はあらゆるコースに打ち分ける巧打者だったのだ。

(守備・走塁面)

 この夏は、エースとしてマウンドに上がり、左腕から繰り出す速球は、130~MAXで140キロを越えるような勢いのある球を投げていた。しかしこの選手の素晴らしさは、その投球よりも打撃にある。すでに140キロをも記録する地肩は、高校生としてはA級の素材だろう。残念ながら投手での登板が殆どで、右翼手としてのディフェンス力はよくわからなかった。ただ投手でありながら仕事の多い右翼を守ると云うことは、ある程度のディフェンス力があると観て好いだろう。

 ただ残念なのは、走力に欠ける点だ。アベレージタイプならば、どうしても走力・守備力との総合力が求められる。計測出来たもので、塁間を4.4秒強。これは、プロの基準が左打者で4.2秒だと考えるとかなり遅いことになる。仮にもう少し上手く駆け抜けたとしても、上で足を売りにすることはまず無さそうだ。石川県大会でも、機動力を重視するチームながら、6試合で2盗塁と際だつものはない。

(打撃スタイル)

対応 : 殆どが初球~3球目ぐらいで仕掛けて来る平均的なタイプ。

狙い球: 速球でも変化球でも打ちに来る。むしろ狙いは、真ん中~外よりのコースにあるようだ。

打球 : 右に左にセンターへとすべての方向に打ち返せる・特に流し打ちの見事さには目を見張る。

 ボールを遠くに運ぶと云うよりは、完全に野手の間を抜けて行くタイプの好打者だ。石川県予選でも本塁打は0。本人もスラッガーと云う意識は捨てているようだ。



(打撃フォーム)

 いつものように「野球兼」の
2007年8月23日更新分に、彼の打撃フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照して頂きたい。

<構え> 
☆☆☆

 まず写真1を観て欲しい。ほぼ両足を揃えて立っており、スクエアスタンスだと観て好いだろう。グリップの高さも平均的で、非常にオーソドックスなスタイルだ。腰の据わり・全体のバランスなどは並程度。両目で前を見据える姿勢は悪くない。もう少し背筋を伸ばしたりして、何か構えから嫌らしさ・威圧感みたいなものが出てくると好いだろう。

<仕掛け> 
遅すぎる仕掛け

 投手が足を引き上げる時に、前の足を軸足に引きつける。しかし本格的な始動は、投手がリリースを迎える前後だ。このタイミングでの始動は、完全に遅すぎる仕掛けに属する。一般的に始動が早ければ早い程アベレージ打者の傾向は強くなる。最初の始動は早いことで、アベレージ打者の傾向が強いのだと思うが、今の始動のタイミングでは上のレベルの速球に対応するのは厳しいだろう。もし仮に対応出来たとしても、打撃に必要な動作を省いてしまいしっかりしたスイングが出来ないはずだ。

<下半身> 
☆☆☆☆

 写真2のように、軽く足を引き上げるスタイル。その足を写真3のように、軸足に対し真っ直ぐから幾分ベース側に踏み出して来る。真っ直ぐ~インステップと云うことは、真ん中~外角の球を意識していることであり、現に彼はそういった球を好んで振って来る。

 足の引き上げは小さめなものの、踏み込み自体はしっかり踏み込めている。インパクトの際にも足元がブレることなくカベを長くキープ出来ているのだ。左の好打者タイプの多くは、一塁にいち早く駆け出せるように、アウトステップを採用するケースが目立つ。しかし彼は足を売りにしていないのか、そういった動作はしてこない。

<上半身> 
☆☆☆☆

 写真3を観ると、前の腕がしっかり捕手側に引かれてトップが深いことがわかる。あらかじめ捕手側にグリップを引きながら、トップをしっかり作れるタイプの選手だ。その際にグリップは頭の後ろ部分にあり、ヘッドの滑りだしは悪くない。写真4のようにバットの先端が下がることなく、無駄なくスイングが出来ている。打球の早さ・スイングの鋭さはソコソコで、ドラフト候補としては平均的。写真5のフォーローの段階では、グリップが高い位置に引き上げることはなく身体に巻き付くような好打者タイプのスイングが出来ている。この写真では、身体の位置を変えずに軸だけずらす高度な技術・フローティングA・Sでボールが捌けているのがわかる。

<軸> 
☆☆☆☆

 頭の位置もあまり動かないし、インステップするので身体の開きも我慢出来ている。ただ内角よりの球の捌きはやや窮屈だろう。それをフローティングA.Sで補っているのだが。軸足には強さこそ感じないが、粘りが感じられボールをよ~く引きつけて叩ける資質を感じさせる。


(最後に)

 実戦で魅せる球の捌きの素晴らしさ・技術的な高さには観るべきものがある選手だ。もし極端な始動の遅さがなければ、走力遺憾に関係なく☆を付けたいところである。ただ彼の場合、イチロー同様に、アベレージ打者でありながら、ボールをよ~く引きつけて叩く「遅めの仕掛け」ぐらいで好いのではないかと考える。そのため今よりも少し早めに始動することで、プロレベルのスピード・球威にも対応して行く方が得策なのではないのだろうか。

・走力の無さ

・アベレージ打者

・始動の遅さ

・打球早さ・スイングの鋭さの平凡さ

などを観ると、極めて高い対応力は認めつつも、大学や社会人で実績を残してからでも好いのではないかと思えてしまう。しかしその対応力の素晴らしさは、2007年度の高校球界でも屈指のものがありそうだ。その辺の特徴を活かしたプレースタイルをぜひ身につけてもらいたい。


(2007年・夏)




 



 山下元監督が入学時、これで強いチームになると期待した左の速球投手ですが、ストレートが126Km~Max131Kmで今日は2回降板の10失点。投手としては無理ですね。打者として好打者になる素質有り。

(2006年 5月3日更新 巨人ファン氏)

夏の大会ではMax135kmのストレートが今大会はMax142kmに伸ばし好調打者としても中距離打者ですが星稜の4番として注目

(2006年 9月23日更新 巨人ファン氏)