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益田 直也(ロッテ)投手のルーキー回顧へ



益田 直也(関西国際大)投手 175/65 右/右 (市立和歌山商出身) 
 




                    「良くなっているぞ!」





 初めて彼を観た2年秋の神宮大会で、MAX147キロを投げ込むサイドハンドとして登場。しかし昨年は、やや伸び悩んだ感があった 益田 直也 。しかし最終学年を迎えたこの春は、課題を克服して逸材揃いの関西国際大投手陣の中でも、頭一つ抜けた存在感を示してくれた。


(投球内容)

 以前は、もっとサイドハンド気味のフォームだった気がするが、今はかなり肘をあげたスリークオーターぐらいに変わってきた気がする。ストレートは、リリーフでの登場と言うことにあり、常時130キロ台後半~MAX90マイル(144キロ)に到達。ビシッとミットに突き刺さる球質は、以前のキレに球威が加わった感じがする。変化球は、スライダー・シンカーと持ち球はそれほど変わらない。ただこの投手、変化球のキレは悪くないのだが、打たれるのはストレートよりも、甘く入った変化球が多いのではないのだろうか。

 ただ以前に比べると、ストライクゾーンの枠の中に集めるスタイルから、両サイドに散らす投げ別けができる感じで、中へ中へと甘く入ることが多かった投球も、だいぶ改善されてきている気がするのだ。またサイドでも、クィックは1.1秒台で投げ込めるなど、モーションが大きいと言う欠点はない。だいぶ以前よりも、実戦的になってきた。先発で試合を作ると言うよりは、リリーフで持ち味が出るタイプだと言う気がする。


<成績から考える>


 この投球の変化が、たまたまだったのか?それとも本当に改善されつつあるのかは、実際の成績を観て考えて行きたい。ちなみに今シーズンの成績は

11試合 4勝2敗 防御率 0.75 

1,被安打は、イニングの70%以下 △

 今シーズンは、48イニングを投げて、35安打。被安打率は、72.9%と、やや基準を上回ってしまった。悲観するほどではないが、球の威力、コンビネーション、勝負どころの甘さなどは、若干まだ残しているのかもしれない。特に変化球の制球力が、試合を観る限り課題が感じられた。

2,四死球は、イニング数の1/3以下 ○

 48回を投げて、四死球は14個と、四死球率は29.1%と基準を満たしている。少なくても四球で自滅するようなタイプではないことがわかる。

3,奪三振は、1イニングあたり1.0個前後 ○

 48イニングで、奪三振は44個。1イニングあたり、0.92個と、先発でもリリーフでも基準を満たすだけの数字は残している。絶対的な決め手はない感じだが、速球でも変化球もそれなりの威力はある。

4,防御率は、1.0以内 ○

 今シーズンの防御率は、0.75 と実に安定。リリーフでも充分も基準を満たす数字であり、安定感が高かったことが伺われる。

<データからわかること>

 データの上からは、やや被安打は多いものの、あとのファクターは基準を満たしており、だいぶ実戦的で安定した能力が身についているようだ。この日の投球は、素直に今の力だと信じて評価しても良さそうだ。


(投球フォーム)

 サイドハンドのように前に体を折って来る感じのフォームのため、お尻は一塁側には落とせない。それでも「着地」までの粘りやステップする位置は適正で、フォームに淡泊な感じはしない。変化球は、スライダーやシンカー系中心で、緩急などの問題は抱えるが、ある程度いろいろな球は投げられそうな下地はできている。

 グラブは内に抱えられ、両サイドへの制球も安定。足の甲での押しつけも深くなり、以前よりもボールが浮くのが減った気がする。特に肘を立てて投球できるようになり、指先まで力を伝えられるリリースになり細かい制球力がつくようになってきた。腕を振り下ろす角度にも無理はなく、連投が効かない欠点も、改善できているのではないのだろうか?

 「着地」までの粘りができ、「開き」が遅くなりボールの出所はわかりにくい。腕もしっかり振れており、「体重移動」もスムーズになって、上手くエネルギーを最後まで伝えられるようになった。相当昨年に比べると課題に取り組み、欠点を改善した実戦的なフォームになっているのではないのだろうか。



(最後に)

 この一年間で、投球の欠点、フォームの欠点を改善し、見違えるほどよくなってきている。それが見事結果となって現れてきた。そういった課題を改善して行こうと言う意欲、そしてそれを実現できるセンスを考えると、プロで長く生き残って行ける可能性を感じさせる。

 恐らくプロ入り後は、リリーフとしての期待が大きいだろう。あとは、連投すると極端にボールの勢いが落ちると言う欠点を改善できているのかが気になるところ。その問題がなければ、即戦力として一年目からも一軍でも活躍できるのではないのだろうか。下位指名ならば、面白い存在だと言えそうだ。



蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2011年 関西5リーグ対抗戦)






益田 直也(関西国際大)投手 175/65 右/右 (市立和歌山商出身)


(どんな選手?)

 サイドに近いスリークオーターから繰り出すキレのある速球と変化球のコンビネーションが冴える好投手です。昨年の神宮大会では、常時140~MAX147キロを記録。将来が楽しみな投手でした。しかし今年は、やや伸び悩み気味かなと思える内容。

(投球内容)

 球速は、130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらい(MAXで147キロあり)。ただ昨年よりも速球の勢いが薄れ、むしろ変化球とのコンビネーションで討ち取るタイプのように思えます。ただ気になったのは、速球が中へ中へと甘くシュート回転して入って来るところ。元々球威があるタイプではないので、観ていて怖い内容でした。

 変化球は、ブレーキの効いたスライダー・チェンジアップなどのその曲がりは悪くありません。ただ全般的にコントロールが甘いゾーンに行くことが多く、その辺が伸び悩みの一つの要因ではないかと感じられます。

(投球フォーム)

 足を引き上げて軸足一本で立ったときも、膝に力みがなくバランスよく立てています。サイドハンドのように前に倒れ込むフォームなので、お尻は三塁側に落とせません。そのため見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるようなフォークの修得は難しいフォームです。それでも足をなかなか降ろし始めず、更に前に大きくステップすることで、着地のタイミングを遅らせ、タイミングを取りにくいフォームを作り出します。

 グラブを内に最後まで抱えられているので、元来もう少し両サイドの制球力が安定してもいいはず。ただ足の甲の押しつけは浮き気味なので、少しボールが上吊りやすいのかもしれません。それでも制球が安定しないのであれば「球持ち」を意識してもっと指先の感覚を磨くとか、肘を立てて投げて制球をつきやすくするなどの工夫が必要かもしれません。腕の角度には無理がなく、負担は少ない腕の振りをしております。

 投球の4大動作では、「開き」「球持ち」「体重移動」は平均的です。サイドハンドですが、着地までの粘りがあり、ボールがなかなか出てこないフォームは好感です。フォーム全般としては、かなり実戦的なフォームをしております。

(今後は)

140キロ台を超える球を投げ込める投手が目白押しの同校の中でも、最も実戦的なタイプかと思っておりました。しかし神宮大会の内容を見る限り、まだまだ課題も多く盤石と言うほど絶対的な存在ではないことがわかりました。それでも志しを高く持って、今年に挑んでくれれば、ドラフト候補としてスカウト達から熱い視線を浴びることになりそうです。ぜひ関西国際大の投手陣の中でも、頭一つ突き抜けて欲しい投手でした。


(2010年 神宮大会)


 




楽天



 
(どんな選手?)


 サイドから繰り出す140キロ台中盤の球速を連発できるリリーフ型投手です。サイドからこのレベルの球速をたたき出せる投手は貴重なので、2年後に向けて楽しみな存在ではあります。

(投球内容)

 常時140~MAX147キロを記録する、勢いのある速球は魅力です。また腕の振りのせいかわかりませんが、その速球も微妙に変化しているように思えます。変化球は、スライダーとのコンビネーション。まだ変化球はこれだけなんで、もう少し変化球のバリエーションを増やしたいところです。

 現状、このスライダーが抜群にキレるとか、上手くボールになるように切れ込んで空振りを誘うと言うよりは、あくまでも速球との変化と言う意味で使っている意味合いが強く、それほど効果的に使えているわけではありません。またストライクゾーンに球を集めることはできますが、コースを突いたりといった投げ分けは見られず、勢いのある球を枠の中に投げ込んで来ると言うシンプルな投球内容です。それだけに現状は、短いイニングを球の勢いで抑え込むスタイルとなっております。

 ただ気になったのは、連投となった上武大戦。前日とは打って変わって、球速が極端に落ちていた点です。たまたまなのか?それともスピードガンの計測の問題なのか、その辺までは定かではありませんが、もしこの手のリリーフタイプとしては、連投が効かない体質となると、ちょっと気になる材料ではありますね。

(今後は)

 まだ下級生なので、そう多くは望みません。ただこれだけの球速・キレのある球を投げられる投手がいると言うことは嬉しい収穫です。しかしあと2年間は、長いようで短いです。投球における課題も少なくないので、プロを意識するのであれば、まだまだクリアしないと行けない課題も多そうです。問題は、二十歳ぐらいまでは球が速くなります。問題は、そこから実戦的な術を意識した時に、いかにこの球の威力を維持しながら、技術を高めて行けるのか、ここからがまた大きな関門となります。志を高くもって、一つ一つ課題を乗り越えていって欲しいですね。それができるようになれば、2年後はプロをも意識できる存在になろうかと思います。

(2009年・神宮大会)