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福泉 敬大(巨人)投手の藁をも掴む!へ




福泉 敬大(22歳・関西独立・神戸9クルーズ)投手 184/85 右/右 





                 「忘れかけていたけれど」





 下記の寸評にもあるように、福泉 敬大 は、甲子園で僅か2球投げたのみで去っていた投手で。最後の夏は、下記の動画にもあるようにサヨナラ負けで甲子園を逃し、愛知学院大に進んでからは中退し、関西独立リーグに流れてきた。そんな彼のことを忘れかけていた頃、巨人に育成枠として指名されたのである。今回は、僅かな動画での確認のみなので、具体的な評価付けはできないことを、ご了承願いたい。





(投球内容)

 ノーワインドアップから、堂々としたマウンド捌きで投げ込んで来る投手です。神戸9クルーズでは、クローザーとして活躍しました。ちなみに今シーズンは、

36試合 1勝 10S 防御率 1.91

ストレート 常時135~140キロ強ぐらいか MAX147キロ

 MAX147キロと言われるストレートだが、上記の動画を観ている感じでは、常時135~140キロ強ぐらいではないかと思えてくる。上記の動画では、クローザーとしての登板なことからも、普段の投球もこの程度ではないかと思う。格別ストレートに伸びやキレは感じさせないが、それなりに勢いは感じさせるものがある。

変化球 スライダー・チェンジアップ・フォーク・ナックル


 右打者には、鋭く横滑りするスライダーで仕留めるのが最大の武器。その他にも、左打者の外角にはチェンジアップ、またフォークなども織り交ぜてくる。実際ナックルがどの球なのかはよくわからなかった。

<右打者に対して> 
☆☆☆

 右打者に対しては、外角にしっかりストレートを集められる制球力はあるようだ。特にストレートはやや高めに浮きがちだが、スライダーはアウトローに鋭く切れ込み空振りを誘う。

 その他には、フォークのような縦の変化があるものの、それほど鋭く空振りを誘うといったほどではない。緩急や細かいコントロールは感じられないが、投球に大きな破綻はないように思える。

<左打者に対して> 
☆☆☆

 左打者には、内外角に投げ別ける投球スタイル。左打者の内角クロスに食い込んで来るストレートに加え、膝元に鋭く切れ込んで来るスライダーで空振りを誘うこともある。

 また外角にもストレートやチェンジアップを投げ、フォークを織り交ぜて的を絞らせない。大まかに両サイドを突き、高低を意識した配球もできている。この投手の最大の持ち味は、スライダーにあると言っても過言ではないだろう。


(投球のまとめ)

 思ったよりも両サイドの投げ別けができる上に、スライダーと言う武器を持っている。これにもう少しフォークやチェンジアップに磨きがかかると、両サイド・高低と幅広い投球が期待できそうだ。

 制球力・マウンド捌きも悪くなく、絶対的な武器はないものの、適度な完成度と力を持っている投手との印象が強い。むしろアイランドリーグの投手よりも、力的には魅力を感じさせる投球だった。





(投球フォーム)

 情報が不足しているので、今度は投球フォームを分析して、その実像に少しでも近づけて行きたい。

<踏みだし> 
☆☆

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込みます。足をゆっくり引き上げ、それほど高い位置まで引き上げません。自分の「間」を重視したスタイルで、フォーム序盤のエネルギー捻出は低いフォームです。この「踏みだし」を観る限り、リリーフ投手と言うよりは、完全に先発型に見えます。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆

 足を引き上げた時に、軸足の膝から上がピンと真上に伸びてしまい、膝に余裕がないのが残念です。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じます。また全体的にも、少し前屈み気味になっているので、全体のバランスや軸足への体重乗せもイマイチです。少し身体が突っ込みやすいので注意したいです。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆

 引き上げた足が、地面に向かって伸びている割に、お尻の一塁側への落としは悪くありません。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながる。彼の場合、腕を鋭く振ることで持ち味を発揮するタイプなのですが、緩いカーブなどが投げられる下地はあるので、試して欲しいところです。投球に緩急も欲しいので。

 「着地」のタイミングも、適度に前に足を逃がせており、早すぎる感じは致しません。ただ投げ終わったあとに一塁側に流れているところを観ると、ステップの幅がまだ狭いのかもしれません。その辺でもうワンランク粘りが出てくると、フォームに粘っこさ・体重移動も
良くなりそうです。ちなみに着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。


<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆

 グラブを内には抱えられておりますが、最後に後ろに抜けてしまっています。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになる。

 足の甲の押しつけは少しわかり難いのですが、それなりに出来ている気が致します。足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがあります。これらの動作をきっちり行うことで、もっと制球は安定してくると思われます。

<球の行方> 
☆☆☆

 グラブを斜め前に突き出すことで、ボールを隠すことができております。「着地」の瞬間には、ボールも適度に隠れており、身体の開きは平均レベルにはありそうです。

 リリース時に、ボールを持っている腕が上がり、グラブを持っている腕が下がっているので、身体への負担は充分注意してもらいたいです。球には角度があるので、それなりに威圧感は感じられると思います。

 「球持ち」は、思ったほど悪くないので、平均レベルはあるのではないのでしょうか。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられます。

<フィニッシュ> 
☆☆☆☆

 振り下ろした腕はしっかり身体に絡めておりますし、腕は振れていると思います。体重移動も適度に乗っており、あとはステップの位置を改善できると、一塁側への流れも修正できるのではないのでしょうか。もう少し股関節や下半身の鍛錬が求められると思います。

(投球フォーム)

 フォーム序盤のバランスの悪さは残念ですが、全体的には大きな欠点はありません。特に投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でも、際だつ部分はありませんが、悪い部分も特にないバランスの取れたプレーヤーです。

 故障に注意しつつ、肉体の資質を更に伸ばすことができれば、素直に結果となって現れて来る土台の良さを感じます。


楽天


(最後に)

 投球の基礎もできているし、フォームの技術もそれなりなので、一年目からファームレベルならば、数字を残せる選手ではないのでしょうか。更に資質を伸ばすことができれば、2年目、3年目ぐらいには、一軍を意識できる可能性も秘めていると思います。

 即戦力とは言えませんが、1年目で支配下登録。2年目以降に一軍をと言う期待が高まる素材です。私が今年確認してきた独立リーグ系の投手では、一番好感が持てる投手です。個人的には面白いなと思える素材であり、彼がこれからどんな活躍を見せてくれるのか楽しみな投手だと思います。少し気にして、今後の動向を見守りたいです。


この記事が参考になったという方は、ぜひ!







福泉 敬大(兵庫・神港学園)投手 183/78 右/右





            「たった2球で、帰っていったけれど!」





 選抜では、僅か2球の登板で甲子園をあとにした豪腕投手・それが 福泉 敬大 だった。骨太の体格から繰り出す速球は、MAX142キロを記録すると言う。選抜で投じた2球目は、インハイのストレート。重い球質の速球は、136キロを記録していた。

 正直2球だけの投球なんで、詳しいことはわからない。そこで秋の公式戦のデータを観てみよう。16回2/3を投げて四死球は7。それ程ノーコンと言う程ではないのかもしれないが、被安打は、22とイニング数を遙かに上回った。ストライクゾーンの枠の中には収まる制球力はあるが、甘いコースへの球が多いと言うことか?ただ兵庫大会決勝では、14安打を浴びながらも完投した粘りの持ち主でもある。

 少なくても、最上級にありながら選抜での起用法を観る限り、安定感に欠ける投手であることは間違いない。しかし僅か2球でも、プロを意識出来る素材の良さを感じさせてくれたのは確かだ。





(投球フォーム)

 ランナーを背負った場面で登場したので、セットポジション、それもクイックでの投球となっている。ただこの場面は、ゲッツーで抑えている。不器用さな投手だが、クイックに関しては一定のレベルに達していた。

<踏みだし> 無し

 セットポジションからのクィックでの投球なので、特に参考にならない。しいて言えば、足の引き上げの勢い高さは、まずまずのものがあった。

<軸足への乗せとバランス> 無し

 すぐに軸足が折れて体重が落ちるクィックなので、この部分も参考にならない。それでも軸足の膝には適度な余裕が感じられ悪くはないだろう。ランナーがいない場面からの投球をぜひ観てみたい。

<お尻の落としと着地> ☆☆☆☆

土台の良さを確信

 お尻はしっかり一塁側に落ちていた。2球とも速球だったので、変化球のレベルはわからないが、将来的には好い変化球を身につけられる可能性は感じる。着地までのタイミングも、セットポジションからにしては、前へしっかり逃がせており悪くない。

<グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆

制球の甘さは、この部分の動作をしっかりと

 グラブをしっかり身体の近くに抱えられていないので、左右の軸がブレて、両サイドへの制球力が安定し難い。制球に不安があるのならば、まずこの部分から修正してみたい。

 軸足の粘りに関しては、軸足の甲で地面を押し付ける動作は甘いのだが、長く足を地面にキープ出来るところは非凡である。もっと深くしっかり足の甲で押し付けられるようになると、高めへの上吊も減るだろうし、下半身のエネルギーもしっかり最後まで伝わるだろう。

<球の行方> ☆☆☆

腕の角度を自然体に

 グラブを上手くリードさせ、球を長く隠すことは出来ている。着地のタイミングもソコソコ粘れているので、身体の開きも平均以上だ。ただ気になるのは、テイクバックした際に、肘を高くキープ出来ているので、その後に高い位置から腕を振りおろしても、負担は小さいだろう。しかしそれでも腕の位置が、無理に高い位置から引き上げ過ぎだ。球に角度を付けたいのはわかるが、もう少し振りおろす腕の角度を下げて自然体にしたい。球持ち自体は並レベルだが、下半身や股関節の鍛錬により、もっと長くキープ出来るようになるだろう。

<フィニッシュ> ☆☆☆

ステップを適性にしてバランスを

 さすがに角度より腕を振りおろしたので、身体に絡みついている。地面の蹴り上げも悪くないのだが、やや投げ終わった後に、一塁側に上体が流れている。ややスタンスが狭く、しっかり体重移動が出来ていないのだろう。足を降ろすタイミングは悪くないが、降ろす場所をもう少し広く取った方が、フォームは安定するのではないのだろうか。そのことを実現するためにも、下半身と股関節の強化は、不可欠なものと言えそうだ。


(最後に)


 ぜひワインドアップからの投球を観てみたい投手である。課題は多いのだろうが、骨太の体格から繰り出すボリューム感溢れる速球は、プロの素材だろう。選抜での消耗も少なかっただろうし上手く自分のフォームを見つけさえすれば、化ける可能性大だ。夏には145キロ級の速球で、スカウトの目を釘付けにするのは、この男かもしれない。地道な努力を続け、その才能を開花させて欲しい!
 


(2006年 4月11日更新)