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牧原 大成(ソフトバンク)内野手のルーキー回顧へ



牧原 大成(熊本・城北)二塁 173/68 右/左





              「知らないって、怖いことだな。」





 ソフトバンクに育成枠の5位で指名された 牧原 大成 選手の試合の模様が、最近になって手に入れることができた。試合の模様は、TV中継の関係上、打席は僅か1打席・守備機会も一度、走塁も僅かに確認できた程度ではあったが、まさに「百聞は一見に如かず」と言うことで、全くこれまで漠然と抱いていたイメージが、間違いであることを強く実感させられるものだった。


(守備・走塁面)

 チームの1番・二塁手として出場。バットを短くに持ち、セーフティバントを試みて相手投手を揺さぶる、快速・巧打タイプのリードオフマン。ただ足が速いだけでなく、浅い外野フライでも上手く回りこんでタッチを掻い潜るなど、その走塁センスには非常に光るものがあった。正確なラップは計測できなかったが、まず足をプロでも売りにできるタイプだと考えられる。

 二塁手としても、捕ってから投げるまでの一連の動作に無駄がなく、素早く送球できる。まさに小回りの効く二塁手といった感じだ。スナップ自体も強そうで、無理な体勢からでも飛び込んで、素早く起き上がってアウトにような、機敏なプレーが期待できそうだ。

 中学時代は、捕手をやっていたり、高校でも二塁・三塁などをこなすなど、器用さやセンスがある選手なんでしょうね。ただショートを任されるような地肩や、一つポジションをずっとこなすような圧倒的な守備力には欠けるのではないか以前書いたレポートでは記したが、二塁と言うポジションをしっかりになって行けそうな素材。


 走力を全面に出しつつ、二塁あたりも任せられる守備力も自慢。いかにも育成枠だからこそ指名された実戦的なプレーヤーだった。


楽天


(打撃内容)

 バットを短く持ち、相手投手を揺さぶったり、四球を選んで出塁を狙うような、いやらしいタイプの選手です。一見非力に観えるのですが、ヘッドスピードは鋭く、野手の間を抜けて行く、天性のアベレージヒッターと言った感じです。


<構え> 
☆☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップを下げてリラックスして構えます。腰の据わりがよく、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢にも好感がもてます。構えた時に微動だせずに立つっている選手で、打席では非常に高い集中力が感じられます。いわゆる隙なしの「鋭さ」を感じさせる、数少ない高校生です。

<仕掛け> 
平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動

 これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイル。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、この仕掛けを採用しているケースが多い

 彼の場合、生粋のアベレージヒッターに観えるのだが、実は小力のあるパンチ力も秘めているかもしれません。

<下半身> 
☆☆☆☆

 足を軽く浮かして、回しこみます。足を上げてから降ろすまでの「間」があるので、スピードの変化にも幅広く対応できる選手です。ベース側にインステップして踏み込むタイプで、外の球でもしっかり叩くことができます。ただ左に巧打者タイプは、アウトステップが基本です。右打者のクロスに食い込んで来る内角の球に対し、どの程度対応できるのかが気になります。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレないでスイングできます。そのため外の球にも開くことなく、しっかり捌くことができています。それにパワーロスも生じないので、打ち損じも少ないことが予想されます。

<上半身> 
☆☆☆☆

 少し、打撃の準備段階であるトップを作るのが遅れ気味です。そのため一定レベル以上の球速・キレのあるボールには差し込まれやすいと思います。それでも上からミートポイントまで、最短距離で振り抜ける、典型的なアベレージヒッターのスイングです。外の球にも、バットの先端が下がらないように、ヘッドを立てながら上手く上から被せるようなスイングで、ボールをはじき返します。

 けしてボールを遠くに運ぶような破壊力のあるスイングではありませんが、対応力と鋭さを兼ね備えたスイングで、打撃の弱さを感じさせません。

<軸> 
☆☆☆☆

 足を高く引き上げないで回しこむので、頭の上下動が小さく目線がブレません。体の開きも我慢できておりますし、軸足にも粘りが感じられます。体軸の安定感に優れた、高い技術の持ち主です。





(最後に)

 極わずかな映像しか見られていないので、具体的な評価は記せない。しかしプロでもやって行けるであろう守備・走力を兼ね備え、打撃技術もしっかりしている。それでいてひ弱さも感じられず、なにより野球への意識・集中力が素晴らしい。心技体いずれもが揃っており、もしじっくり見られたら、育成枠でも
を付けていたであろう選手。

 育成枠で、それで5位での指名。しかしこれこそが、本当に隠し玉と言うか、本物の掘り出しモノかもしれない。今後も彼の活躍を、注意深く見守ってゆきたい。最後の最後で、素晴らしい選手に出会えることができた。


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年・夏)