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甲斐 拓也(楊志館)捕手 168/74 右/右 |
「ほんの一瞬!」 昨夏の大分大会・準々決勝。甲子園に出場した明豊と対戦した楊志館の9回の攻撃だけを確認できた。そこで最後の打者になっていたのが、当時2年生の甲斐 拓也。その選手が、翌年ソフトバンクから育成枠ドラフトで指名された。 今回は、その僅か1打席のプレーのみからの情報になるが、この選手について触れてみたいと思う。もちろん今年のプレーも確認できていないので、評価付けできないのはご了承願いたい。 (プレースタイル) 二塁までの塁間を、1.77秒で到達する驚異のスローイングは、恐らく今年の高校生の中でも1,2を争うであろうタイム。更に打っても高校通算40本塁打以上を放つスラッガー。そんな選手が、何故育成枠6位まで残っていたのか?今回は、そのことも含めて考えてみたい。 19分36秒~19分38秒 ちなみに、この動画はいつのものかはわかりません。 (打撃フォーム) 今回は、僅か1打席。それも昨夏の模様のみと言う情報だけになってしまうが、そこから伺いしるところから考えてみたい。 <構え> ☆☆☆ 両足を揃えたスクエアスタンスで立ち、グリップを下げて脱力した構えが印象的。腰の据わりも、本格的に動き出すまでは、深く沈ませないで立っている。ただ両目で前を見据える姿勢は悪くない。ただ自分のリズムを刻むようなことはないので、少々受け身な印象は受ける。 <仕掛け> 遅すぎる仕掛け 投手のリリース前後に始動 多くの欧米人やキューバ人などは、このタイミングで始動する。狙い球を絞って、打てる球を引っぱたく、そんなスタイルを取る。ただこのようなスタイルは、非常に脆く打てる球は限られる。 また始動~インパクトまでの時間が極端に短いので、スイングに不可欠な動作を端折ることで、インパクトを間に合わせようとすることになる。それでも打ててしまう欧米人のヘッドスピードと筋力の強靱さは、残念ながら日本人には真似出来ない。日本人の場合このタイミングでは、プロレベルの投手を相手には通用ないと私は考えてている。ただし、もしこのタイミングの始動を使いこなす日本人が現れた時、パワーで世界のスラッガーと対峙出来る存在になっているだろう。 <下半身> ☆☆ 投手の重心が下がりきった時に、ベース側に足をつま先立ちします。そこから小さくステップして、真っ直ぐ踏み込むスタイル。真っ直ぐ踏み込むと言うことは、内角でも外角でも捌きたいと言う彼の意志が感じられるものの、基本的にはボールを巻き込む引っ張り型の打者のように思えます。 足を浮かして~着地までの「間」がないので、打てるタイミングは限られており、その球を逃さず叩く鋭さが求められます。完全にそのスイングは、線ではなく点で捉えるタイプです。 踏み込んだ足下は、上半身の強さに負けてしまい踏ん張り切れません。そのため身体の開きも我慢できませんし、打ち損じも多いタイプです。上手く引きつけて右方向と言うのは、基本的に少ない打者ではないのでしょうか。 <上半身> ☆☆ 打撃の準備段階である「トップ」を作るのは、バットを引くのが遅く、立ち後れてしまっております。そのため速い球に差し込まれたりする可能性が高いです。またグリップを結構内に引き込むので、内角の球にもスムーズにバットが出てきません。引っ張りを得意としている割には、内角を巻き込むのが上手くないタイプです。 更にバットが身体から離れてでており、ボールを捉えるまでロスがあります。またボールを捉える時も、バットの先端が下がるなど広い面で捉えられませんので、打ち損じも多そうです。 ただ大きな弧を描きながら、最後まで力強く振り切ることができております。上手くタイミングあえば、破壊力のある打撃が期待できます。ただボールを乗せて運ぶ術には欠けているので、木製バットだと本塁打連発とは行かなそうです。 <軸> ☆☆ 頭の動きも大きめで、目線のブレも少ないと思います。身体も開きも我慢できませんし、軸足の崩れも激しいです。ボールを的確に捉えたる技術に、大きな課題があります。 (打撃フォームのまとめ) 昨夏のスイングを見る限り、極めて打てる球は限定され、ボールを捉える技術に課題を感じます。プロで通用するだけの技術が、まだまだ備わっておりません。この一年間で、どの程度改善できたのかはわかりませんが、その課題を一年で克服することは、相当な努力と忍耐力が求められます。 (最後に) 当たれば破壊力はありますが、その確率は極めて低く、打撃の粗さが改善仕切れていない可能性は充分あり得そうです。 更に捕手としてもよくわからないのですが、いくらガッチリしていて非凡なスローイングを持っていても、プロの捕手としては小さすぎます。そう考えると、1.7秒台のスローイングで、高校通算40本塁打を放つような逸材でも、高い評価がされなかったことがわかります。 ただこれまでならば、こういった選手はプロの網に引っかからなかったわけですが、あえてそういった部分に目をつぶっても、光るものがあれば指名する。それが、育成枠の大きな意味です。ですから、彼が指名されたのもまた理解できる事例です。 果たしてこの荒削りな素材を、プロがどのように導いて行くのか。折しも指名したからには、5年ぐらいは腰を据えて、育てて頂きたいと節に願います。 この記事が参考になったという方は、ぜひ! |