10ky-20





佐藤 貴規(ヤクルト)外野手のルーキー回顧へ




佐藤 貴規(宮城・仙台育英)外野 180/78 右/右





                 「素材は、プロ級!」





 兄・由規(ヤクルト)の実弟で、正直、兄の七光りで注目されている選手なのかと思っていた。しかしそのプレーぶりを見てみると、高い身体能力にリストの強さはは、素材としてプロを意識選手であることを実感した。そんな 佐藤 貴規 を、今回は考察してみたい。


(プレースタイル)

 プロに混ぜても俊足レベルの脚力・強肩を活かした中堅守備。更に強いリストを活かしたパンチ力のある打撃で、東北の名門・仙台育英の3番・中堅手を務めた。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、3.9秒台に到達。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

となる。ただこの夏の宮城予選6試合では、盗塁は僅かに1個。それだけに足自体は速いかもしれないが、盗塁を決めるセンス・積極さに課題を抱えているのかもしれない。そのためプロで、足を本当の意味で売りにできるのかは、今の時点では疑問が残る。

 中堅手としても、俊足を活かして守備範囲は広いと言われるが、実際に試合を見る限り、打球への勘・ボールの追い方などをみると、けして上手い外野手に見えない。

 ただ地肩はまずまず強いようで、これに関しては、プロの基準を満たしていると評価できそうだ。強肩・俊足の身体能力はあるものの、まだまだ守備には課題が残る。

 こうやってみると、プロレベルに混ぜてもやって行ける身体能力はあるものの、技術的には課題を多く残す。果たしてプロの指導を受けた時に、その秘めたる能力を実戦で活かすことができるのかは、現時点では疑問の部分は拭えない。





(打撃内容)

 リストが強さを活かし、野手の間を抜けたり外野手の頭を越えたりと、二塁打・三塁打が多いタイプ。打球もセンター中心に、右に左へと幅広く打ち返すタイプです。

<構え> 
☆☆☆

 スクエアスタンスで足を揃え、グリップを下げ気味も構えます。ただあらかじめ捕手方向にグリップを持ってきているので、やや力みが感じられ固いのが気になります。

 腰の据わり具合・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は平均的で、リラックスして構えられているように見えるのですが、少しリストワークが固くなりがちです。

<仕掛け> 
平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動

 これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。

<下半身> 
☆☆☆

 足を引き上げ降ろすタイプなのですが、着地するタイミングを図ると言うよりは強く踏み込むためのもので、タイミングの合わせ方としては平凡です。

 真っ直ぐ踏み出すタイプで、内角でも外角でも捌きたいと言う万能型で。打球もどの方向にも飛びます。インパクトの際に、足のブレを最小限に抑えられており、打ち損じはそれほど多くないタイプだと考えられます。

<上半身> 
☆☆☆

 早めに打撃の準備段階である「トップ」の形を作れております。そこから無駄なく振りだし、ボールを捉えるまでに大きなロスは感じられません。スイングの弧の大きさ・フォロースルーの形も平均的で、大きな欠点はありません。

 ボールを捉えるセンス・スイングの強さなどに特に際だつものは感じませんが、大きな欠点もなく、可も不可もなしといった感じでしょうか。

<軸> 
☆☆☆

 ボールを捉えるまでに、目線のブレは平均的。それでも身体の開きは我慢でき、軸足の安定感も悪くはありません。


(打撃のまとめ)

 リストの強さは感じられるものの、けしてホームランを放つタイプではありません。またボールを捉えるセンス・ヘッドスピードも平均的で、打撃に関しては、さほど非凡なものは感じられませんでした。





(最後に)

 守備・走力は、ポテンシャルはプロ級も、それを活かす術に課題があります。打撃に関しては、リストの強さは感じますが、際だつ才能は感じられません。

 その身体能力を買って、下位指名~育成枠レベルなら指名して来る球団もあるかもしれません。しかし個人的には、プロ入りには時期尚早だと評価します。ただ野球に向かう姿勢の良さや、高い身体能力からも、こちらの想像以上のスピードで成長を遂げるかもしれません。課題は多いのですが、どのような成長曲線を描くのか、個人的には大変興味のある選手です。


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年・夏)