10ky-16
西田 明央(北海道・北照)捕手 175/85 右/右 |
「全国屈指のスローイング!」 塁間1.75~1.8秒台前半で二塁ベースまで到達し、かつ安定した制球力を誇るスローイングは、今年の高校生のみならず、大学・社会人含めても、トップランクに位置するのは間違いない。まして打力も兼ね備えた選手であり、プロ志望届けを出したことでドラフト指名も現実味を帯びてきた。今回は、そんな北の逸材について考えてみたい。 (プレースタイル) どっしりと存在感のある捕手と言うよりは、動作が機敏で、運動神経が勝ったタイプの捕手でした。またその割に、捕手としてのセンス・頭を使ったプレーなどが物足りない選手で、個人的にはドラフト候補として考えることは出来なかった選手です。しかし昨秋~選抜にかけて、かなり捕手らしくなってきました。そしてこの夏は、プロを意識できるところまで成長してきた選手です。 (ディフェンス面) ミットを投手に向けて軽く示すタイプで「どうだ、ここに投げてみろ!」と言う感じのキャッチングではありません。そういった投手をガンガン引っ張って行くようなタイプではないように思えます。ただボールをグッと押し返すような力強いキャッチングではないにせよ、ミットを捕球する時に動かさないので、審判からストライクカウントを呼び込みやすい側面はあると思います。 またグラブを一度地面に降ろす癖はないので、次の動作への移行は早く、ワンバウンド処理など素早く対応できます。この選手は、次の動作への移行が非常に身軽で素早いのが、最大の特徴だと言っても好いでしょう。 以前は、全くリードの意図と言うかセンスが感じられなかったのですが、その辺は少し解消されてきました。状況に応じて投手にへの返球にも強弱を付けるなど、リード面・テンポ・気持ちのメリハリなどを意識できるようになり、視野の広がってきた点は素直に評価したいところです。 そして彼の最大の売りが、塁間1.75~1.8秒台前半をコンスタントに投げられる高校球界屈指のスローイングにあります。その地肩もさることながら、動作への移行が素早く、そこで到達タイムを稼ぐタイプだと思います。少々無理な体勢からでも、それなりのところに投げられる制球力もあり、タイムだけでなく実戦で使えると言う総合力加味すると、恐らく2010年度組の中でも、屈指のスローイングレベルにあると言えそうです。 (ディフェンス面のまとめ) 根本的な捕手としてのセンス・捕手としての適正などには、今でも疑問を残す部分はあるのですが、昨秋~この夏までの成長には目を見張るものがあります。少なくても、それだけの意識で野球に取り組めると言うことであり、上のレベルの指導を受けた時に、更に何処まで成長するのか楽しみです。少々身体は小さいのですが、ディフェンス面でもプロを意識できるところまで、この夏は到達したのではないのでしょうか。 (打撃内容) 右にも左にもセンター方向にも、強い打球が打てるのが特徴です。こと対応力に関しては、ドラフト候補である又野 知弥 よりも上と見て好いでしょう。特にボールをきっちり捉えられるようになり、南北海道予選・甲子園と納得させられる打球が増えてきました。 <構え> ☆☆☆ 以前は、かなりオープンスタンスだったのを、今は軽く前足を引いているだけのオーソドックスな構えに変えました。ただ以前も指摘したのですが、身体を開き気味に構える割に、顔が正面を向ききれないと言うのは、かなり身体は固いタイプであり、故障の可能性が高く、その要因が多い捕手と言うポジション柄心配な部分ではあります。 また構えた時に、少し固さが感じられる柔軟性の無さと、内が少し窮屈そうに見えるのは、今後の改善点でしょうか。 <仕掛け> 平均的な仕掛け 春までは、仕掛けが「遅すぎる仕掛け」を採用していて、甲子園でも結果がでませんでした。しかしこの夏は「平均的な仕掛け」を採用することで始動を早め、中距離・ポイントゲッターとしての役割を充分果たすことができ、厳しくマークされていた4番・又野の後、彼を上回る打点を予選で稼ぎました。 <下半身> ☆☆☆☆ 以前は、踏む込んだ足下が早く地面から離れる巻き込み型の打撃だったのですが、この夏はしっかり踏み込み、カベを長くキープすることで右方向への打球も増えました。足下もブレないので、打ち損じも減り、甘い球を逃さない「鋭さ」にも磨きがかかりました。 <上半身> ☆☆ 打撃の準備段階である「トップ」までバットを持ってくるのが遅れております。またバットを振り出す際に、身体から離れて振り出されるので、外角の球は綺麗に振り抜けますが、内角の球の捌きは悪いです。ポイントが後ろなので、右方向へ打球が伸びるようになりました。フォロースルーまできっちりバットは振れており、フォロースルーも取れるようになることで、ボールを遠くに運ぶことができるようになってきております。 <軸> ☆☆☆ 結構頭が動く選手であり、目線が安定しません。特に自分からボールを追ってしまう傾向が強く、打撃に波があるタイプだと思います。身体の開きは我慢でき、軸足にも強さが感じられるようになり、打球も強さ・鋭さが増えてきたのは明るい材料です。 (打撃のまとめ) 身体も力強く・足下もしっかり踏ん張れるようになり、「鋭さ」・「強さ」が増してきました。また右方向への打撃も可能になり、打撃の幅も広がってます。ただ「トップの形成」・ボールを捉えるまでのスイング軌道などに課題を残し、更に目線のブレなども見られるなど、ボールを的確に捉えるための術には多くの課題を残します。 打力に関しては、プロでやれるだけの資質はありますが、まだまだ改善点は少なくありません。また塁間を4.35~4.55秒(左打者換算で4.05~4.25秒に相当)するなど、中の上レベルの脚力はあります。ひょっとすると、将来は捕手ではなく、他のポジションで存在感を示すことになるかもしれません。 楽天 (最後に) 捕手としての技量を大きく伸ばすことで、プロを意識できるところまで来ました。また打撃も癖のある打撃から、幅が広がってきた点は、上のレベルを意識すると大きいです。 あまりドラフト候補と言う臭いはしない選手なのですが、実際のプレーに関しては、それだけの力がある選手です。まあ評価は別れる選手だとは思いますが、指名リストに名前を残してみようかなと思います。指名の有無に関わらず、今後も注目して行きたい選手です。 蔵の評価:☆ (下位指名級) この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年・夏) |
(どんな選手?) 神宮大会の時にもレポートした選手ですが、ガッチリした体格ながら、非常に動作の切り返しが速い、高い運動神経と高校球界トップランクの1.75~1.8秒台でスローイングできる超高校級の選手です。ただ捕手としての資質に少々疑問を持っていたのですが、一冬超えてだいぶそれらしくなってきました。 (ディフェンス面) 元々身体能力が際立っていた選手だったのですが、かなりディフェンス面が成長しておりました。ミットを軽く示し下げないので、ワンバウンド処理への対応も素早く、ミットの出し方もよくなってきました。キャッチングもボールを押し込むと言うほどではないにしろ、捕球する際にミットを動かさないですし、リード面でも少し考えてプレーできるようになったと思います。元々ガッチリした体格の割に、フットワークも機敏でスローイングなど、次の動作への移行が素晴らしかった選手。選抜でも少々立ち遅れましたが、それでも1.8秒台後半のスローイングを魅せてくれました。ことスローイングに関しては、プロレベルに混ぜても充分に通用する速さと強さを持っております。投手への返球にも強弱を使いわけるなど、教えればそれなりに吸収して行ける選手ではないのでしょうか。 (打撃内容) チームの5番を担う打撃に関しては、あまり結果がでませんでした。仕掛けの遅さやその動作からも、かなり打てる球は限られているかなと言う印象の選手。ただ秋田商の投手は、けして球速が速い投手ではないので、むしろこの試合では対応力の方に課題を残す試合となりました。 体に力のある選手で、スイングにも強さと鋭さがある選手です。あとは、ボールを捉える術を磨いて、夏までに打撃でも成長したところを魅せて欲しいと思います。ただこの試合では、塁間の到達タイムが、4.35~4.55弱ぐらいのものが多く、これを左打者換算すると4.05~4.25秒ぐらいと、走力でもプロの基準以内であることがわかります。将来的にも捕手を続けて行くと思いますが、他のポジションへの可能性も広がる身体能力の持ち主だと言うことがわかりました。 (今後に向けて) これだけの身体能力と一定レベルの打力がありながら、プロ側からの評判は聞きません。やはりそれは、まだまだプロをも唸らせるだけの捕手としての資質が示せないからだと思います。ただ秋に比べると、だいぶ捕手らしくなってきたので、今後も捕手として続けて行ける可能性はあるのかなと言う印象を持ちました。 大学・社会人タイプの選手だと思いますが、その身体能力は間違いなく全国トップクラスです。この資質に、技術や捕手としての気遣い・きめ細かさを身につけたとき。更にその上のレベルが見えてくるのではないのでしょうか。 (2010年 選抜) |
(どんな選手?) 捕手らしくガッチリした体格の持ち主ながら、パワフルかつ動きも機敏な選手です。特に捕ってから全く無駄のないスローイングは特筆もの。この送球だけでも、一見の価値がある選手です。 (ディフェンス面) ガッチリした体格で、如何にも頑強そうな捕手らしい体型。その割にフットワークなども良く、ワンバウンド処理などにも機敏に反応出来る、動作への移り変わりに光るものがあります。ただ捕手としての身のこなしなど、あまり捕手としてのセンス・インテリジェンスは、ちょっと観ただけでは感じられず、身体能力の高さに優れたタイプですが、捕手向きの資質があるかには、少し疑問が残りました。 ただその点は別にしても、捕ってから二塁までの塁間を1.75秒前後で到達し、それでいてしっかりランナーの滑り込んで来るところに返球出来る無駄のないスローイングは、超高校級だと言えそうです。このスローイングを、もしコンスタントに出来るのならば、全国でもトップ級の素材ではないのでしょうか。選抜では、再度詳しく考察してみたい選手でした。 (打撃内容) 前足をあらかじめ大きく引いた、右オープンスタンスです。ただその割に、あまり顔が正面を向いていないのは、かなり身体が固いと言うことなのでしょうか?ただ自分のリズムを刻みながら適度にリラックス出来ており、それほど構えに力みは感じられないのは良いことです。 「平均的な仕掛け」を採用するように、ある程度のパンチ力を兼ね備え、強い打球で抜けて行くのが持ち味の強打者です。足を上げて回し込むスタイルからも、打てるポイントは多そうなのですが、かなり巻き込み型のプルヒッターと言うスタイルが、打撃の幅を狭めているかもしれません。もう少し踏み込んだ足下を長くキープ出来ると、右方向への打球も増えそうです。 またトップを作るのが遅れる傾向にあり、その辺も一定レベル以上の投手のスピードに、立ち後れる可能性が高そうです。スイング軌道には大きなロスはなく、コンパクトに、それでいてフォローまでしっかり振り切れる選手です。ヘッドスピードも基準レベルを満たす力強さがありますが、打球が遠くに飛ぶと言うよりは、野手の間を強烈に抜けて行くタイプかと思います。仕掛けは平均的で、ある程度の対応力がありそうですが、かなり打てる球は限られているタイプではないかと思います。 (今後は) 捕手としてのセンスはあまり感じませんが、次の動作への移行の素晴らしさとスローイング能力には非常に光るものがあります。打撃も打てる球は限られていそうですが、パワフルで強烈なヘッドスピードを誇り、チームの3番を担うように、けして打力のない捕手ではありません。それだけに資質としては、全国級の捕手であり、選抜ではチェックを入れてみる価値は充分ありそうです。ドラフト候補云々かどうかは、選抜でのプレーぶりを観て判断したいと思います。一冬超えて、更に捕手らしくなっていることを期待してみたいと思います。 (2009年・神宮大会) |