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島本 浩也(阪神)投手のルーキー回顧へ





島本 浩也(京都・福知山成美)投手 176/63 左/左





               「これが、最後になるとは・・・」





 部員の不祥事が発覚して、島本 浩也の最終学年は、一度もマウンドに上がることなく終わる。まさか私自身も、2年夏の試合が、最後の観戦になるとは思いもしなかった。まして2年夏の島本は、中学時代バッチリーを組んでいたキャッチャーを、大分のバス事故で失うと言う辛い経験をする。それだけに、最終学年に賭ける意気込みも誰よりもあったに違いない。





(投球内容)

 上記の動画、私が確認した京都外大西戦とは違う。むしろこの試合の動画の方が、出来はよかったように思える。ただ球速・ピッチングスタイルは変わらない。今年度の投球の模様を確認できていないので、具体的な評価づけはできないことを、ご了承願いたい。

ストレート 125~130キロぐらい MAX139キロ

 2年夏の模様を観る限り、球速は常時125~130キロ弱ぐらいといった感じだろうか。最終学年では何処まで資質を伸ばしたのかはわからないが、球威・球速不足は否めない。ただ右打者のインハイを厳しく突く、強気の投球が身上だ。

変化球 カーブ・スライダー・フォーク? など

 左腕らしいカーブとスライダー、それにフォークらしき球もあるのだろうか?ただあくまでもこの時点では、緩急やカウントを稼ぐための球で、相手の空振りを誘うような絶対的なキレは感じない。

その他

 クィックは、1.15~1.25秒前後と平均的。あまり鋭い牽制を入れることはなく、フィールディングはよくわかならなかった。ただマウンド捌きは洗練されており、完全にスケールよりも実戦的な投球を作り出す野球センスに優れたタイプだろう。

<右打者に対して> 
☆☆☆☆

 右打者に対しては、インハイの厳しいところにストレートで突きつつ、アウトコース一杯にも速球とカーブを集めて投球を組み立ててくる。特に内外角の投げ別けはできており、変化球が低めに集まるところが良い。

<左打者に対して> 
☆☆

 左投手ながら、左対左の有利さは感じさせない投球。特に右打者相手よりも、明らかに制球が甘くなる傾向が強い。真ん中高め近辺に、威力のない球を投げ込んで痛打されるケースが目立った。

(投球のまとめ)

 「コントロールのいい左腕は買い」だと常々口にはするが、プロを意識するのには、球威・球速不足の上に、左対左の有利さをあまり感じない球筋と制球力の無さが気になる材料。





(投球フォーム)

 あくでも参考になるのは、昨夏の京都大会の模様しかないので、ご了承願いたい。

<踏みだし> 
☆☆☆

 足の横幅は狭めで、足を軽く引いて構えている。足を引き上げる勢いは意外にあり、高い位置まで引き上げられている。もっと試合を作る先発タイプをイメージしていたが、フォーム序盤から高いエネルギーを作り出している。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆

 足を引き上げた時に、軸足の膝から上がピンと伸び義気で、突っ立ったフォームになってしまっている。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。この投手、この後すぐに膝を折って体重を落としてしまうので、軸足に体重をしっかり乗せることができていない。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆☆

 足を高い位置でピンと伸ばすので、お尻の落としは悪くない。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながる。彼の場合、もっと良い変化球を修得できる可能性を秘めている。

 着地のタイミングも、それほど早くない。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆

 グラブは、最後まで内に抱えられている。グラブを最後までしっかり抱えられていないので、どうしても両サイドの制球はアバウトになりやすい。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 ただ残念なのは、足の甲での押しつけができず、足が完全に浮いて回転してしまっている。足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。

<球の行方> 
☆☆☆☆

 ボールを隠すのは並程度だが、着地の時点でもボールを持っている腕は、打者からは見えてない。すなわち「開き」が早いフォームではなさそう。腕の角度も、無理に引き上げている感じはなく、身体への負担は少なそう。ただオーソドックスな角度なので、左打者にとって厄介な球筋ではけしてない。

「球持ち」自体は悪くないので、将来的にはもっと制球力が安定してきても良いのではないのだろうか。ちなみに、ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。

<フィニッシュ> 
☆☆☆☆

 腕は、しっかり最後まで振られているのは良い。また前への体重移動も、けして悪いといったことはなく、適度にバランスと躍動感を兼ね備えたフィニッシュとなっている。

(投球フォームのまとめ)

 将来的には、もっと投球の幅を広げて行ける可能性を秘めている。更に無理のない腕の振りからも、故障に悩まされるタイプには見えない。

 また投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」と欠点はなく、かなり実戦的なフォームをしていることがわかった。


楽天


(最後に)

 球威・球速不足に加え、左打者に弱いと言う、左投手としての有難味に欠けるところが残念。ただ右打者への制球力に加え、球種の多彩さ、実戦的な投球フォームと評価できる部分があるのも確か。

 いかんせん、その投球を確認していないので、何処までその辺の課題やパワーアップに成功したのは未確認。ただ通常の成長力・それほど上積みの残っていなそうな素材であったことを考えると、今のプロ入りが「旬」なのかは不明。ただ技巧派左腕として、何処まで存在感を示せるのか、個人的にはちょっと気になる投手でした。高校時代の不完全燃焼を、ぜひプロの舞台ではらして頂きたい!


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