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関 啓扶(三重・菰野)投手 180/77 右/右 |
「ボールに食らいつく姿勢がいい!」 東海地区屈指の投手と言われていた 関 啓扶。しかし彼を見る時に欠かせないのは、むしろ打席での姿勢にあるように私は思う。そう選手を評価する時、それは投手だとはいえ、打席まで気を配らなければ、けしてその選手の本質に近づけないと私は考える。その最も顕著な例が、この選手ではないのだろうか。 関 啓扶の打席を見よと言うのは、彼がチームの4番である打力を評価しろと言う意味ではけしてない。彼のボールに食らいつこうと言う、貪欲な姿勢を感じとることなのだ。海のモノとも山のモノともまだ形ができていない高校生を見るとき、むしろ技術よりもどれだけ一つのプレーに執着できるのか?そのことの方が、高校から野球で飯を食うんだと言う意識を推し量る上でも重要になる。そういった意味では、この選手の野球への姿勢は高校生からプロに行くべき基準を満たしている。 (投球内容) 真上から投げ込む本格派と言うよりは、身体に捻りを加え少し横回転に流れるスリークオーター。身体には馬力がありストレートには力があるが、むしろその魅力は2種類のスライダーのキレにある。 ストレート 135~140キロ台中盤 この夏のいそべ総合戦の試合を見る限り、ストレートは平均して135~勝負どころでは140キロ台中盤ぐらいまで到達しているようだ。そのストレートは、球威・勢いをそれなりに感じさせる球質。ただ少し身体が横回転して流れるフォームなので、ナチュラルにシュート回転したりする傾向が強い。それ以上に気になるのは、その多くが真ん中~高めに集まる傾向が強い点。確かに馬力があって勝負どころでは力強い球で押せるだけのパワーはあるのだが、ことストレートだけで評価するのであれば、ドラフト指名選手としては微妙なラインだ。 変化球 縦・横二種類のスライダー・カーブなど 少しフォームに癖があり、何処まで意識してボールに変化を加えているのかは定かではない。ただ主な変化球は、カウントを取りに行く横滑りするスライダーと、勝負どころで鋭く縦に切れ込むスライダーの二種類。たまにカーブなどを織り交ぜるが、それほど投球において大きな意味は持っていない。ストレートがやや暴れる傾向にある一方で、スライダーでしっかりカウントを稼いで来る。また勝負どころでは、自在に縦に落とすスライダーで空振りを誘えるのも、この投手の大きなアピールポイントとなる。 その他 クィックは、1.15~1.20秒ぐらいと基準レベル。フィールディングは、あまり上手そうに見えないが、実際は結構上手い。牽制も二塁などに、かなり素早く投げられるところをみると、けして苦手ではないようだ。見た目は、もっともっさりしたイメージがあるが、実は野手としても潰しが効くだけの、身体能力があるのではないのだろうか。 ピンチでも冷静にマウンドを外すことができるし、投球に強弱のメリハリもつけられる。見た目以上にセンス・器用さ・頭脳がある選手ではないのだろうか。その辺オーソドックスなフォームで、淡々と投げていた先輩の西 勇輝(オリックス)投手よりも、総合的には優れていた気がする。 <右打者に対して> ☆☆☆ アウトコース真ん中~高めのゾーンにストレート・低めのゾーンに横滑りするスライダーでカウントを整えられる。そして追い込むと縦に切れ込むスライダーで空振りを誘う。 それほど内角への制球には優れず、緩急も効かせられないが、変化球を低めに集められ、決め手がしっかりある点は評価したい。時々球がシュート回転して、甘いゾーンに来るのは怖くはあるのだが・・・。 <左打者に対して> ☆☆☆☆ 左打者にも、外角の真ん中~高めのゾーンにストレートを決め、真ん中ぐらいの高さに、外から入って来るスライダーで投球を組み立ててくる。勝負どころでは、縦に切れ込むスライダーで狙って空振りが取れる点は大きい。 また右打者よりも、インハイに厳しく内角を突くコントロールを持っている。緩急や甘く入る可能性はあるが、高校生でこれ以上を望むのは贅沢だろう。 (投球のまとめ) ストレートだけ見ていると、制球力・威力共にドラフト指名レベルかは微妙なものの、スライダーや投球全体の総合力で考えるならば、プロレベルの投手だろう。特に変化球でストライクが取れ、決め球も持っていると言う点では、充分に評価に値するだけの投手だと評価したい。 (投球フォーム) お尻を一塁側に落とせるタイプのため、見分けの難しいカーブや縦の変化も期待できるはずなのだが、腕の角度がないので、カーブやフォークなどの球種は厳しいかもしれない。その分、縦のスライダーでそれを補っている。 グラブは、最後まで腰のあたりに留められており、それほどしっかり抱えられていないものの、大まかに両サイドに投げ別けられている。ただ足の甲の押しつけがほとんどできていないので、上体が浮いてボールを低めに押し込めない。 腕の角度には無理がないので、それほど負担は感じない。ただこの腕の振りで、縦の変化を武器にしていることを考えると、それなり縦スラを投げる時には負担が発生しているのでないかと考えられるので注意したい。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」こそ並であるが、その他の部分では課題は多く残す。身体に捻りを加え、途中までボールを長く隠すことができている。ただスリークオーター気味の横回転の動きなので、「開き」自体は早くなっている。 「球持ち」も浅く、指先までしっかり力を伝えられる繊細なタイプではないので、特にストレートの制球には不安が残る。「体重移動」も、前にしっかり体重が乗っていっていると言う感じではなく、更に三塁側に流れる傾向にある。また腕も投げ終わったあと絡まないなど、腕が強く振れていると言うほどではないところが、フォームとしては気になる材料。 楽天 (最後に) 投球や球そのものを見ていると、ドラフト指名となると微妙な内容に見えてくる。しかし変化球でカウントが取れ、決め手のある投球でもあり、指名リストには残そうかなと思える内容ではあった。 不安材料は、やはり実戦力に欠ける投球フォーム。そういった部分で、伸び悩んだり大成できないかなと思える不安は大きい。しかしながら、野球への貪欲な姿勢・見かけ以上にセンス・頭脳もありそうなので、カベを乗り越えて行ける資質はありそう。最後は、心技体の「心」の部分が決め手となり、プロ入りへもGO!サインを思わず出したくなった! 蔵の評価:☆ この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年・夏) |
(どんな選手?) MAX148キロを誇り、東海地区屈指の本格派右腕だと言われている選手です。ただ私が見た昨夏の海星戦では、連投の疲れなのか、制球・球の走り共に、素質の片鱗を感じさせてくれませんでした。 (投球内容) この日のストレートは、常時130キロ程度だと思いますが、制球・球の勢い・球質共に光るものはありませんでした。変化球は、ほとんどがスライダーとのコンビネーション。安心してカウントが取れると言う意味では、このスライダーのほうが安定していると言った感じでした。 他にもカーブやシンカー系の球があるのですが、それほど大きな意味は持っておりません。この日は、常にボールが先行するなど制球は不安定。フィールディング・牽制などは平均ぐらい。クィックは、1.20~1.25秒ぐらいと基準レベルです。それほどマウンド捌きには、センスを感じさせるタイプではありませんでした。 (今後に向けて) この一年で、どのぐらいの成長を遂げたのか大いに気になります。今や、東海屈指の素材だと言うことですから、相当なレベルアップが期待できそうです。ぜひ高校からプロに行くような圧倒的なポテンシャルを示して欲しいと思います。 (2009年・夏) |