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南 貴樹(埼玉・浦和学院)投手 196/85 右/右 |
私が選抜組以外で、今年初めてプロを意識できる高校生に出会ったのが、この 南 貴樹 投手。196センチの体格の投手と思えないようなバランスの良いフォームと長身から投げ降ろす角度が魅力の投手です。 (投球スタイル) 南は、制球に課題があると聞いてていたのですが、確かにリリースにバラツキは感じられるものの、ピンチでも動じづに、自分のピッチングスタイル守れる投手で、思ったほど荒削りではありませんでした。長身から繰り出す角度のある速球は、常時140キロ前後でMAX89マイル(142.6キロ)を記録。捕手のミット押し戻すような球威のある速球で、打者の内角や高めを突いて詰まらせるのが、この投手の身上。ただ高めの速球を除けば空振りの取れるタイプではありませんが、ブレーキの効いたカーブ・スライダーなどもおりまぜ、この日は制球の脆さも魅せませんでした。 やや球全体が高いのが気になるのですが、両サイドへは大雑把に投げ分けられます。カーブでしっかりカウントを整える器用さもありますし、横滑りするスライダーを低めに集めつつ、フォークなども落としてきます。細かい制球力・マウンド捌きなどには課題を残しますが、思ったほどは荒れ荒れではなく、破綻のないタイプだと思います。 (投球フォーム) 何より190センチ以上の体格の持ち主で、これだけのバランスで兼ね備えているのは、あのダルビッシュ有(日ハム)以来の選手だと思います。 お尻を一塁側に落とせるタイプではないので、将来的にプロで使えるカーブ・フォークなどの球種を身につけられるかは微妙なので、スライダー・チェンジアップ系の球を武器にするタイプかと思います。ただ着地までの時間は稼げるので、ある程度の変化球は習得できるフォームですし、その器用さもありそうです。 グラブも胸元にしっかり抱えられ、両サイドへの投げ分けはできます。少々足の甲の押しつけの深さ・粘りは物足りないので、ボールが上吊り気味になります。 それでも投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」と言う観点でみてみると、大きな欠点がありません。ただ特別優れた部分もない無難なフォームです。ただ腕に角度をつけようとして、かなり右肩が上がり、左肩が下がってリリースされるので、身体への負担は少なくありません。アフターフォローには、充分注意して欲しいと思います。 腕の振り・絡みも悪くありませんし、前への体重の乗りも悪くありません。根本的なフォームの土台は好いので、あとは筋力を付けて、腕の振り・上体の振りを鋭くしたり、下半身にもっと粘りが出てくると、将来楽しみな大器です。 (意識づけ) マウンドでも、ピンチにも動じず肝は据わっております。野球への姿勢も、けして好い加減な選手には感じません。ただそれほど投手に求められる繊細さがあったり、集中力を長く持続できるタイプではなさそうな印象を持ちました。ただこの体格にしてバランス感覚は素晴らしいですし、ある程度の器用さも併せ持ちます。その指導次第では、まだまだ引き出しを増やして行ける選手ではないのでしょうか。 (今後に向けて) 現時点では、まだまだ素材型の域を脱しておりませんが、土台の良さに加え、まだまだ伸びて行ける肉体的な伸び代も期待できます。時間は少しかかるかもしれませんが、将来はプロでも活躍できるだけの器の持ち主です。これだけの素材は、全国にも数えるほどしかいないでしょうから、ぜひ高卒でプロに入ってきて欲しい選手です。夏までに更に上積みを望めれば、一躍中位~上位指名への可能性も秘めていると思います。関東では、屈指の素材ではないのでしょうか。選抜組ならば、有原航平(広陵)クラスの選手だと評価できそうです。 蔵の評価;☆☆ (中位指名級) (2010年 春季埼玉大会) |