10kp-11


 




宮国 椋丞(巨人)投手のルーキー回顧へ



宮国 椋丞(沖縄・糸満)投手 184/76 右/右





               「随分と良くなっているね。」









 私が4月の春季九州大会で観た時に比べると、宮国 椋丞 のこの夏の状態は見違えるほどよくなっていた。今回は、下記に寸評してある春季大会との比較をしながら、最終寸評としよう。


(投球内容)

 大きく足の横巾幅を取りつつ、大きくワインドアップの時にグラブを高く振りあげてから投げ込んできます。特に足をジワ~とゆっくりと高い位置まで引き上げます。

ストレート 目測で常時135~140強 MAXで145キロ弱ぐらいか?

 球の勢い・キレ自体、春季大会より少しよかったように思えます。確かにキレには良いものがあるのですが、球威と言う点ではかなりモノ足りません。特に球速も、ドラフト指名選手としては際立つほどではないので、現状甘く入ると怖いなあと言う印象は否めませんでした。ただ将来的には、コンスタントに145キロ前後~150キロ近い球速で、空振りを誘える快速球を身につけてきても、全然不思議ではありません。

変化球

 春季九州大会では、横滑りするスライダーとのコンビネーションで、単調な印象は否めませんでした。しかしフォークらしいのですが、チェンジアップのような縦の変化を投球に多く織り交ぜることで、だいぶ目先のイメージが違って見えました。またたまにではあるのですが、カーブを投げ込むことも確認できました。

 この選手の良さは、スライダーもフォークも、それほど空振りは取れていなかったのですが、低めに変化球が集められている点ではないのでしょうか。

その他

 牽制も鋭いですし、クィックも1.1秒前後~1.15秒前後と、基準である1.2秒を上回るスピードで素早く投げ込むことができます。ただフィールディングの動きは悪くないのですが、やや送球が雑と言うかコントロールが悪く、無理に投げてしまう印象があります。これは、宮國だけでなく糸満と言うチーム全体に言える傾向でもありました。

 とくに普段の投球は悪くないのですが、「間」が取れなくなるセットポジションの投球になると、持ち味が損なわれる傾向は変わりません。特に悪い時、状況に追い込まれた時になると、悪いなりの投球ができない投手で、決勝の興南戦でも終盤に一挙に8得点されて踏ん張り切れませんでした。

<右打者に対して> 
☆☆☆

 外角の真ん中近辺にストレート、低めにスライダーを投げて投球を組み立ててきます。時折フォークを交えてきますが、それほど打者の空振りは誘えません。内角にもストレートを魅せますが、それほど多くは見られませんでした。

 両サイドへの投げ分けは悪くないのですが、緩急を効かせた球がなく、「間」が取れなくセットポジョンからの投球になると、単調になるきらいがあります。また勝負どころでは甘く入る傾向は、春季大会の時と本質的に変わっておりませんでした。

<左打者に対して> 
☆☆☆

 外角に速球とチェンジアップのようなフォークで、投球を組み立ててきます。インコースへの投球もたまに見られますし、両サイドにもある程度投げ分けます。ただ春季大会同様に、左打者にはスライダーが使えません。フォークがあることで、春季大会と比べると速球だけと言うことがなくなったのは大きな収穫です。

 やはりけして甘いわけではないのですが、勝負どころではポンポンと打ち返される傾向は変わりませんでした。


(投球のまとめ)

 状態としては、春季九州大会よりもこの夏の投球は全然良かったと思います。ただピンチになった時の踏ん張りなどは、本質的に変わっておりません。ただフォークと言う縦の変化を多投することで、相手の狙いを絞らせない効果が期待できたことは、大きな成長だった気は致します。





(投球フォーム)

 基本的に、下記の寸評の頃と大きは変わっておりません。ただ体の状態がよくなったのか?それとも肉体的な成長が出てきたのか、春よりも前への体重移動、腕の振りには鋭さを増してきた印象はあります。

 素材としてもバランス・柔らかさもありますし、根本土台の良いフォームは、素直に肉付けしたら、それが素直に結果になって現れるタイプではないかと思います。ただ春よりも、やや「開き」が早くなっており、ボールが見やすくなっていたのは気になる材料でした。


楽天


(最後に)

 春季大会の頃に比べると、球の勢い・縦の変化を加えたことで、投球に幅が生まれてきました。ただセットポジションになると持ち味が損なわれる点と勝負どころでの創意工夫のない点では、本質的な変化は感じませんでした。

 それでも、土台となる投球フォームの良さ、低めへ集まる変化球、柔らかい天性の身のこなしなどは、やはり魅力のある素材だと言う気は致します。

 ただ現時点では、肉体も精神的にも時間がかなりかかりそうであり、大成するのには5年ぐらいはかかるかもしれません。そういった意味では「旬」ではないように思えます。ただこれだけの素材だと言うことを考えると、早くからプロのしっかりした環境と指導者につけて育て見ることも悪くないかなと言う気は致します。

 大成出来るのかには疑問な部分も残りますが、肉体的にも大きな上積みが期待できる選手です。そういった大きな伸び代代を期待したい部分はあります。ただ課題を克服して行ける人間的な幅や創意工夫できるセンスがあるのか?と言われるとかなり不安な部分があり、最後まで素材重視のギャンブル的な指名だなと言う印象は否めません。あえて高い伸び代を期待して指名リストには名前を入れますが、私なら上位で指名するような確信は、最後まで持てない選手でした。数年後、やっぱり大学にでも行かせておけばよかったと反省させられるような、早期の退団にならないことをただただ祈っております。


蔵の評価:
(下位指名級)


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年・夏)







宮国 椋丞(沖縄・糸満)投手 184/76 右/右

 昨年から、来年の沖縄NO.1右腕は、この投手だろうと現地の人から聞いており、ぜひ観てみたいと思っておりました。特に昨春、昨夏と2度の沖縄遠征でも確認できずじまいに終わっていただけに、春季九州大会で彼を確認するのは、一年越しの悲願でした。

動画:宮国 椋丞(沖縄・糸満)投手


(投球スタイル)


 スラッとした手足の長い投手体型から、ゆったりと足をジワ~と引き上げ、その足を軽く曲げ伸ばしてから投げ込む独特の「間」が、この投手の一つの持ち味なのだと思います。

その球も、けして球威・球速で押すタイプではなく、キレのある快速球と横滑りするスライダーを武器にする正当派の本格派です。


(投球内容)


 私の観た試合では、かなり内容が悪いものだったのではないかと思われます。この大会後には、どうも肘の調子が芳しくないなんて話しも聞きました。長身から投げ降ろされる速球は、常時135~MAX88マイル(140.8キロ)を記録。キレ型の球質なので、けして空振りが取れないわけではないのですが、全国レベルを意識すると、球威が物足りず、甘く入ると怖いなあと言う感じが致しました。

 変化球は、カーブ・スライダー・それにカットボールなどもあるのでしょうか。基本的には、まさにスライダーと言う感じの横滑りするスライダーが、彼の最大の武器となります。基本は、両サイドに球を投げ分けて、討ち取るタイプの投手です。牽制も鋭く、クィックも1.15秒前後とまずまずで、マウンド捌きも悪くありません。ただこの日は、甘い球を痛打されたり、味方がエラーを連発したりと、最後までリズムに乗り切れませんでした。

 右打者には、外角低めに逃げて行くスライダーを振らせるのが、この投手の最大の持ち味。ただ追い込むまでに、甘く入った球を痛打される場面が観られました。それほど縦の変化や緩急もない上に、速球に威圧感がないので、福岡の飯塚打線に打ち込まれました。

 左打者には、より両コーナーへの投げ分けはできるのですが、スライダーが使えず武器になる球がないのが辛いです。そのため、けして甘くないコースを突いた球が狙い打たれるなど、苦しい投球が続きました。

本人の状態もさることながら、沖縄では打たれなかったような球を、ポンポンと打ち返す相手打線のレベルの高さも、最後までリズムを作れなかった要因かもしれません。けして元来持っている野球センス・素材としての良さはあるものの、肌で全国レベルの怖さを実感することになった大会だったのではないのでしょうか。


(投球フォーム)


 ワインドアップで振りかぶり、ジワ~と足をゆっくり引き上げる独特の「間」が、この投手の持ち味です。逆にこの「間」が作れないセットポジションの時は、持ち味が損なわれます。

 お尻もしっかり一塁側に落とせるフォームなので、将来的には見分けの難しいカーブや縦の変化の習得も充分期待できるフォームです。その上、着地までのタイミングも、けしてあっさりしすぎていないのは良いです。

 グラブも内に最後まで抱えられておりますし、足の甲での押しつけの粘りや深さも悪くありません。この上「球持ち」も良いので、バランスの取れたフォームでもあり、制球は良い投手だと思います。

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」などの根本動作にも、大きな破綻がありません。特にグラブを斜めに前に突き出すことで、打者との正対を遅らせことができ、更に「着地」の時点でも、ボールは頭の後ろにあるなど「開き」の遅いフォームは魅力です。

 ただ土台は素晴らしいのですが、腕の振りが弱いなど筋力の弱さが目立ちます。もっと前に体重を乗せられるような躍動感が出てくると、手元までもっと活きた球が行くのではないかと思います。それだけに、なんとも惜しい投手かなと思いました。


(今後に向けて)


 腕の振りの柔らかさ・身のこなし・体重移動の滑らかさなどは、素晴らしいと思います。また土台となるフォームも好く、これに素直に肉付けができたら、やはり面白い素材だよなと素直に思います。

 ただ昨夏からの評判からしても、一冬越えての成長が乏しかったのではないかと推測致します。それができない体調だったのか?それとも野球への意識が低いのか?いずれにしても期待ほどの成長は、現時点で見込めていないのではないのでしょうか。

 その上、現在身体の調子もイマイチ。更に実際にプレーを見る限り、高卒でプロに行くようなギラギラしたものや圧倒的なポテンシャルは、現時点で感じません。そういった意味では、一度有力な強豪大学などで揉まれてから、プロを意識した方が良いのではないかと思います。ただ夏までに立て直し、更に意識づけが変わって来るようならば、素材は良いものを持っているので、プロへの可能性も否定できません。できれば、もう一度良い状態の彼を観てみたいと思わせてくれる選手でした。


(2010年・春季九州大会)







宮国 椋丞(沖縄・糸満)投手 184/76 右/右

 振りかぶってゆっくりと足を上げ、軽く一旦ためて、また少し膝を上げて、お尻をしっかりと落としオーバーから投げ込んできます。グラブもしっかり抱えられ、投げ終わりのバランスも良いです。ここまでは秋と変わりませんが、春では足を上げたときに右腕を体で隠すようにし、テイクバックを小さくし体の開きも抑えられたフォームに変わっていました。それと腰回りも大きくなり、踏み出しの幅も大きくなったのか腰高という印象はなくなりました。また足の上げ方が少し東浜投手と似ていますね。秋の時に感じた開きの早さ・腰周りの弱さ・投げる腕の位置などの部分が全て改善されていたのに驚きました。その上出どころも見えにくくなるようにしているわけですから、意識やセンスの高さが現れていると思います。

 球種はスライダー・カットボール・カーブ・ツーシーム・シンカーでしょうか。直球はキレ型でやや球威には欠けるかと思います。やはり圧倒的な直球を投げ込むというタイプではなさそうです。制球は安定していて、右打者には外角に直球やスライダー・カットを集めてきます。内も厳しく突くことは出来ますが、あまりぐいぐい攻めません。スライダーのキレは良くやはりコースに決まると右打者には打てないでしょう。大きく曲がるというより鋭く曲がる高速スライダーという感じです。近くにいたスカウトが言っていましたが、おそらく球速は115~120くらいだと思います。左打者にも外角中心で、内も厳しく突けます。左打者からは逃げていくようなツーシームと直球を中心に投げてきます。そして緩急と曲がりも大きくなかなかキレのあるカーブとシンカーをたまに投げてきます。
三振の取れるピッチャーだと思いますが、あまり狙わずに上手く打ち取っているという感じです。フォームは違いますが、この投球スタイルは東浜投手にそっくりですね。本人も意識しているのかな?

 牽制やフィールディングは上手いですし、クイックも上手いです。こういった部分もホントにしっかりしています。また危機察知能力というかそういった雰囲気を読むセンスもあると思います。

 観戦していてまさに好投手だなと感じます。島袋投手のように打つのも崩すのも難しいというより、打てなくも無いけど崩すのが難しいって感じの投手ですね。フォームの完成度も高いと思いますし、変化球もこれという問題もないですし、投球以外の部分もしっかりと出来ているので本当にあなが無い投手だと思います。

 ただ物足りないのはやはり直球の威力でしょうか。抑えて投げているのかなという印象がありますが、それでもボリューム感が物足りないです。夏までにもう2ランクくらい威力を増していて欲しいです。またそれが出来る投手だと思います。

(2010年春 半島氏)



楽天



宮国 椋丞(沖縄・糸満)投手 182/66 右/右

 来年度の沖縄の目玉との評判は確かでした。長身・細身で腕も長くまさに投手体型というような体つきです。ただ1年の頃からあまり体つきが変わっていないかなという印象です。

 振りかぶって足を上げ、軽く一旦ためて、また少し膝を上げてスリークウォーターから投げ込んできます。グラブもしっかり抱えられ、足の蹴り上げも大きいので打席から見たら結構迫力があるのではないでしょうか。投げ終わりのバランスも良いです。ただ、腕の振りや腰の回転にはそこまで力強さや鋭さは感じませんでした。

 通常のフォームでは体の開きの抑えは普通という感じですが、セットポジションになると開きが早くなって左打者からは見えやすいでしょうね。実際嘉手納戦では左打者からタイムリーを打たれていました。

 球種は、直球・スライダー・カットボール・カーブ・シンカー・ツーシームを投げていました。直球はキレ・伸びがまずまずありますが球威に欠け、また質についてはそこまで際立つものはありません。奪三振の多くは変化球です。

 右打者への配球については外角中心に直球・スライダー・カットボールを集めてきます。制球は安定しておりしっかりと低めに集めることが出来ています。内を突くことは無いわけではないですが、制球にバラツキがあり厳しく攻めることはあまりしません。ただ右打者は、直球とスライダーだけで抑えることが出来ます。スライダーはバットと球がかなり離れていても振っていたのでかなり厄介でしょうね。左打者に対しても外角中心に直球・シンカー・ツーシームを投げていました。こちらも制球は安定し低めに集めれています。右打者よりは内を厳しく突けますが見えやすいのでしょう、この球を狙われていたと思います。決め球はシンカーのようです。直球・変化球とも左右各打者の外低目に制球できる点が優れているとこだと思います。

 クイックも早く、牽制も鋭く、フィールディングも早いです。また間の使い方・牽制のタイミングなども良く、マウンド捌きは良いと思います。

 嘉手納戦では6回3失点で一旦降板、1点差に詰め寄った9回に再び登板し上位打線を3者三振にとるなどエースとしての意地・プライドを見せてくれました。気持ちもなかなか強そうです。

 長身・細身、マウンド捌きの良さ、多彩な変化球を制球良く操る、またタイプは違えど顔立ちの良さなど東浜投手と被る部分も多いかと思います。ただ唯一絶対的に違うとポイントは体の柔軟性でしょうか。去年秋からはだいぶフォームがまるくなったと感じますが、もともとカクカクしたようなフォームだったので体は少し堅いタイプかもしれません。個人的には股関節が堅いのかな?と感じました。とはいえ素材としてはかなり魅力があると思います。制球の良さもありますしね。個人的には全体的に筋力不足だと思うので、この冬の間に体を作ってきて欲しいですが、あまり肉付きが良いタイプではないのかな?と思いますね。

 あとこれは個人的な好みですが、スリークウォーターではなくやはり上から角度つけて投げて欲しいです。1年秋の頃は上から投げていたので。

(2009年秋・半島氏)