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松下 一郎(ベイスターズ)捕手のルーキー回顧へ








松下 一郎(関西外国語大)捕手 172/78 右/右 (六甲アイランド出身)





                     「ニアミス!」





 この秋私は、天理大の小山 雄輝(巨人4位指名)投手を観に、大阪の南港球場に足を運んでいた。私はこの試合の途中で、球場を移動。もしこのまま移動せずに試合を見続けていれば、第二試合で松下 一郎のいた 関西外国語大の試合を観戦できていただろう。ただその時は、彼がプロからマークされている素材だとは知らなかった。そのため今回も、僅かな情報を元に、この選手について考えてみたい。そのため具体的な評価づけはできないことを、あらかじめご了承願いたい。




15分38秒~48秒ぐらい


(プレースタイル)

 
小柄ながら、50メートル6秒2の俊足と遠投115メートルの強肩を兼ね備えた、高い身体能力を活かしたプレーが自慢だそうです。私の推測ですが、この体格ですからプロでは捕手以外のポジションを想定して獲得したのではないかと。と言うのは、スカウトのコメントからも、身体能力の高さは口にされていても、捕手としてのコメントが聞こえてこないからです。そのため野球センスと小回りの効く運動神経の持ち主のようなので、二遊間やセンターなど守備的負担が大きなポジションを意識した指名だと想像致します。もちろん最初は、捕手としての適正を見極めてからだとは思いますが・・・。

 上記の動画を見る限り、野手の間に、鋭くはじき返す打撃が持ち味の選手ように見えます。4年間の通算で、1本塁打と言う実績も頷けます。


(リーグ成績)


年度 試合数 本塁打 打点 盗塁 打率
1年春          
1年秋 .000
2年春 .200
2年秋 .083
3年春 13 .100
3年秋 12 .270
4年春 12 .341
4年秋 13 .280

 本格化したのは、3年秋のシーズンと遅め。更に際だった数字はなく、4年間でベストナインは0。ようやく最終学年で、5リーグ対抗戦のメンバーに選ばれたのが、実績らしい実績だ。けして地方リーグの中でも、際だつ存在だったわけではないことがわかる。ただ最終学年で成績を向上させてきたように、努力家の一面も垣間見られる。恐らく元々は、ディフェンス力を重視して起用してきたが、徐々に打力が付いてきたと言うタイプなのではないのだろうか。





(スローイング)

 上記の動画を見る限りわかりにくいのですが、スローイングタイムは2.0秒強はかかっているように見えます。下記の京虎さんのコメントにもあるように、驚くような地肩の持ち主ではなく、捕ってから素早く移行して刺すタイプのようです。少なくてもこのスローイングが決め手となって指名に至った。そういったタイプではまずないようです。


(打撃フォーム)

 むしろ私の目を惹いたのは、打撃の動画でした。少々映像としてはわかり難いものがありましたが、わかる範囲で述べて行きたいと思います。

<構え> 
☆☆☆☆

 前の足を引いた右オープンスタンス。グリップの高さは、平均よりやや高く、バットを倒して構えております。腰の据わり・全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は良く、適度に自分のリズムを刻めてリラックスして構えられております。

<仕掛け> 
早すぎる仕掛け 投手が足を引き上げる前~引き上げきった段階での始動

 始動が早ければ早い程良いのならば、この段階でみんな始動すれば良い。しかし投手が足を降ろし始める前にスイング動作に入ると、投手がタメの時間を操作することで、事前にタイミングを狂わせることが可能なのだ。そのためプロレベルでは、この段階で始動する打者はいないはずだ。

 上記の動画でも、投手の重心が下がる前に始動を初めており、上げた足を一度地面に降ろしてから、再度ステップし直すと言う場面が観られます。完全にこれは余計な動作であり、これを修正することが求められます。

<下半身> 
☆☆☆

 ただ欠点として指摘した早すぎた着地から再度ステップし直していると言うのは、瞬時にタイミングが合わなくても打ち直す修正力があると言う見方もでき、そういった打撃センスは高く評価できます。

 小さくステップした足は、真っ直ぐ踏み込まれており、内角の球でも外角の球でも打ちたいと言う彼の欲求が感じられます。踏み込んだ足下もブレないので、身体の開きも我慢でき、インパクトの際のロスも少ないはずです。カベを長くキープできるので、右方向への打撃も充分期待できます。

<上半身> 
☆☆☆☆

 グリップをいち早く「トップ」の位置に添え、そのまたコンパクトに振り出します。そのため速い球にも差し込まれることなく対応できそうです。バットは寝せて出しているのですが、遠回りになることなくボールを捉えられております。特にバットの先端が下がらず、ヘッドスピードも鋭いので、大きなロスが感じられません。そのスイング軌道からも、完全にコンパクトヒッターであり、ポイントも遅くセンターから右方向へはじき返す打撃を持ち味にしている印象は受けます。

<軸> 
☆☆☆☆

 頭の位置の動きは小さく、目線のブレは少なそうです。身体の開きも我慢でき、軸足にも粘りは感じられます。無駄の動きを極力廃したスイングをします。ステップを踏み直す癖さえ修正できると、意外に打撃はプロでも通用するのではないかと思います。





(最後に)

 どういう意図で獲得した選手なのかは未だによくわからない部分はあるのですが、個人的には打撃には面白いものを持っているなと感じました。これに野球センスや高い身体能力はありそうな選手なので、捕手としてよりも他のポジションで持ち味が発揮されそうな気が致します。

 すでに打撃技術の完成度は高いので、あとはプロのスピード・環境に如何に適応して行くのか。ぜひプロの指導者から、いろいろ学んで欲しいと思います。個人的には、ちょっと動画を観ただけの選手でしたが、気になる選手でありました。ぜひ来年は、ファームでその勇姿を確認して、この直感が正しかったのか確かめたいと思います。


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楽天



 実は、横浜がリストアップしたとされる、松下一郎選手ですが、観戦しています。が、私も覚えていません。このチームを観戦したのは、第1戦先発する西原という投手をみるためでした。ただ、当時のメモがありますので、それを見て、彼について書きます。

・関西外国語大VS関西国際大
松下:5番捕手で出場。2打席確認。相手投手は、届出せば、どこかが指名するであろう松永昴大投手です。第一打席は見逃し三振、第2打席はレフト前ヒット。しかし、ヒットで出塁した後は、牽制でアウトになっていますね。相手が松永といえ、少し不注意だったのかもしれません。
 捕手としても、記憶にありません。例えば、送球が安定していれば、メモしていますから。そういうメモがないのはイニング間の送球が安定していないということだと思います。関西国際大は3つ企画して、松下が刺したのは1つだけです。
西原:関西外大の第1戦の先発を任されている投手。Maxでは140あると思います。常時130半ばから後半と思われます。制球は悪くないです。ただ、取りに行ったところを右打者、左打者関係なく痛打されていました。スポーツ新聞の地元版ではプロ志向あるみたいですが、正直そのレベルにあるとは思えませんでした。ただ、本格的な指導者に巡り合えば変わるかもしれません。

この試合で覚えているのは、両チームの差ですね。試合前ノックや、カバーリングなどを見ても、関西国際大の方が完全に上回っていました。実際、関西外大は、カバーを怠って、やらなくてもいい点を与えていました。春期に1部最下位なのも納得できます。

一方、関西国際大は、このリーグの他大学とは違います。他大学は全国に行くことが目標で、関国大は全国で勝つことが目標のチームというのが生で見てわかります。

長くなりましたが、松下一郎選手の指名があるとすれば、育成枠というのが現状だと思います。


(2010年 10月13日 京虎氏)