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大石 達也(西武)投手のルーキー回顧へ



大石 達也(早稲田大)投手 182/76 右/右 (福岡大大濠出身)





                 「倦怠期を乗り越え!」





 下記にある彼の成績表を見て欲しい。2年生になり、ほぼ投手としての成長がピークを迎えているのがわかる。そして3年春・秋・4年春の倦怠期を経て、今更ながら少しお尻に火がつき始めた、まさにそんな感じの選手なのだ。

 この成績が、偶然そうなのか?と思うなかれ、彼の打者としての動きからも、彼がそういった、のんびりした性格なのがよくわかる。内野ゴロを打った時など、最初のスタートが悪く、これがヒットになるかもと思うと、全力で走り始める。その時の非凡なまでのトップスピードは、彼が野球人として極めて高いポテンシャルを秘めていることを伺わせ一方で、常に全力では物事に取り組められないタイプの性格であることも、如実に物語っている。そう 大石 達也 と言う男は、好い時と悪い時の差が激しく、エンジンのかかるのが遅いタイプなのだ。


(では、全く努力してこなかったのか?)


 大学2年までは、成長する自分の肉体に身を預け、闇雲に投げていた印象がある。それが、大学3年生ぐらいから、少しずつ考えるところがあったり、モチベーションが上がりきらなかったりと、伸び悩む要因は様々だったのだろう。すでにこの時期になると、彼のモチベーションは、六大学と言う舞台では満足できず、国際試合など特別な環境下でなければ、どうしてもアドレナリンが放出されなくなっていた。

 そんな、のんびり屋さんの彼も、さすがに4年間の最後のシーズンであるこの秋は、少なくても気持ちの上では頑張らなければと言う意志は働いてきたのだろう。ただそのための準備・努力を計画的に続けてきたわけではないので、未だに2年時のピークほどの投球を取り戻すに至っていない印象がある。

 それでも、彼が何も努力をしてこなかったかと言えば、これまたNO.だと言わざるえない。フォーム分析をしてみても、投げるフォームの根本は変わらずとも、以前には意識が薄かったグラブをしっかり最後まで抱えようとする動作が見られたり、課題である「開き」を抑えようと言う意志は、そのフォームから感じられるようになってきた。彼が、けして全く努力をしようとしなかったわけではなく、そのフォームにはマイナーチェンジが加えられていたのだ。少なくても最後のシーズンには、そういった努力の一端を垣間見ることはできた。





(ただそれでも・・・)


 大石のストレートは、低めでも角度をつけてカウントを整えられるし、力を入れれば高めでも空振りを誘える。こういったストレートの勢いや質は、プロ打者からでも空振りを誘える代物だろう。ただその一方で、持ち球のフォークは、学生レベル相手でも見極められてしまい、横滑りするスライダーのキレも、けして突出したものではない。またいつも破格のストレートを投げ続けられる投手ではないので、あくまでも身体の状態が良い時、気持ちが乗っている時と言う条件がついてしまうのだ。すなわち、いつも安定した投球ができるのか?と言われれば、かなり疑問な部分が残る。

 特に悪い時に悪いなりにと言う、投球をまとめるセンス・勝負どころでの踏ん張りが効く性格では元来ないので、悪い時はとことん悪い。好い時は、手がつけられない。そういった波の激しいタイプだと考える。そのためプロの世界でも、シーズン通して安定した成績・何年にも渡って好成績が収められるタイプなのかと言われると大いなる疑問を持たざるえない。


(現状どのぐらいやれるのか?)


 現状プロで使えるほどの変化球レベルに欠けることからも、少なくても一年目から絶対的な成績を残せるのかには疑問が残る。だから非凡なストレートで、その素質の片鱗・存在感を示すことができても、本当の意味でプロで大成できるのは、2年目以降ではないかと評価する。少なくても、彼が比較的早い段階で頭角を現すとすれば、間違いなくそれは、リリーフでの舞台だろう。


(彼を導くためには)


 また彼が日本球界を代表する投手になるためには、彼をとりまく環境・人との出会いが、私は重要だと考える。少なくても周りがほっといても、自ら努力し物事を追求して行くようなストイックさは感じられず、むしろ周りに流され染まってしまう恐れすら危惧する。周りの環境次第で、彼の将来は、大きく左右されることになるのではないのだろうか。

 少なくても彼の秘めたるポテンシャルを、自分自身が、引き出してみたいと思わせるような雰囲気や環境がなければ、この選手は埋もれたまま、あるいは非凡なものをたまに示しても、いつも示し続けられないで伸び悩む可能性は充分あり得るのではないのだろうか。


(それでも)


 そういった彼の性格・危うさを感じつつも、彼の持っている野球人としての秘めたる才能・無限の可能性は、2010年度組、NO.1の素材であることは間違いない。その彼の能力を、プロと言う舞台が、引き出せることができるのか?関係者のみならず、本人の人となりが問われることになりそうだ。その能力を存分に引き出すことに成功すれば、近い将来、日本球界を代表する世界レベルのクローザーが誕生すると、私は信じて疑わない!


蔵の評価:
☆☆☆☆ (1位指名級)


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年・秋)




楽天


大石 達也(早稲田大)投手 182/76 右/右 (福岡大大濠出身)





                 「大石達也は、大丈夫?」





 誰がみても、好調時の投球をみれば、2010年度のNO.1投手は、彼だろうと言いたくなる投手、それが 大石 達也。

 ゆったりとしたフォームから繰り出される速球は、わかっていても空振りが取れる本物のストレート。しかし3年時の大石は、下級生時代よりも球の走らない一年であった。

 1年秋にリーグ戦に登場した大石は、それまで防御率0点台を続けていた。しかし3年春には防御率2.70 秋には2.22と言う数字に落ちている。これは、数字が物語るだけでなく、実際にその球の勢いを見てれば、そう感じさせる投球が多かった。この一年間見てきた中では、私がオッ!思ったのは、日米野球の壮行試合で、三菱重工横浜との練習試合に登板した時の投球ぐらいだったからだ。下級生時代の球の勢いを、陰を潜めていると言うのが、今の大石達也の現状なのだ。


(更に心配な点)


 素材としては、2010年度のNO.1は、大石達也 。それは、多くの関係者も、同様に口を揃える。そんな中、私の興味は、むしろ何故、それだけのポテンシャルを持ちながら、圧倒的な数字を残せていないのか?むしろそのことにあった。


(改めて投球を考えてみる)


 球速は、コンスタントに145キロ前後~好調時には150キロを超えてくる。しかし球質・球筋が好いので、140キロ台前半の球でも、打者の空振りを誘うことが充分できる投手なのだ。その速球に加え、カーブ・スライダー・フォークと言う変化球も、一通りのものがある。どれか凄い球があるのかと言われれば、変化球はどれもソコソコといった感じだろう。

 けん制も中~中の上レベル。クィックも1.2~1.3秒程度と、平均からやや物足ないレベル。さすがに遊撃手もこなすだけあって、フィールディングは上手い。ただ、その投球からは、それほどマウンドセンスは感じられず、圧倒的にポテンシャルで押すタイプの投手だといえる。ただ球にバラツキがあっても、四死球で自滅するようなタイプではなく、大きな破綻もなく、要所を締められるのが、この投手の良さでもある。


(それでは、フォームに問題があるのか?)


 実際フォームを分析してみると、幾つかのことがわかってくる。元々お尻をしっかり一塁側に落とせないタイプなのに、フォークやカーブなどをある程度投げられるのは、着地までの大きなステップが時間を稼ぎ、体をひねり出す時間を確保しているからだ。ただし、お尻が落とせないと言う根本が解決されているのではないので、将来的にも、これ以上のカーブのブレーキ・フォークのキレを望むのは難しいだけでなく、体への負担も考えると疑問が残る。

 グラブをしっかり抱え込む意識がないので、どうしても体が遠心力で外に振られて、左右の軸がブレやすい。そのため両サイドの制球力もアバウトなのだ。

 投球フォームの4大動作である「着地」までの粘りは悪くないが、体の「開き」は少し早い上に、あまり「体重移動」が充分ではない。それでも球が手元で伸びるのは、非凡な球持ちの良さが、ボールにしっかりバックスピンを与えているからだろう。ただ、この「開き」「体重移動」の課題は、今後の大きな課題として残る。


(少し見えてきた)

 この投手の投球・フォームを分析していると、ソコソコのまとまりはあるのだが、あまり細かい部分まで、彼が野球を追求していない、意識が行っていない、アバウトな性格であることが伺える。


 そう彼に必要なのは、もっと貪欲に投球を追求する探究心と、もっと投手には絶対不可欠な要素である、繊細さが物足りないのだ。それでも学生相手では、ソコソコ抑えられてしまうために、現状そこで満足してしまっているのではないのだろうか?


(今年のチェックポイント


 今年の不安定な大石を見ていると、素材は一級品でも成績は、ソコソコの投手で毎年終わってしまう投手になってしまうのではと言う危惧を感じる。それだけに、あえてこの一年は、どこまで投球を、いや野球と言うスポーツに対し、己を深く掘り下げ、力強くぶつかって行けるのか?まさに、最上級生になる春のシーズンにおいて、その姿勢が見られるかどうかが、一つこの選手が、単なる素材型で終わるか、プロ野球界を代表する投手になれるのかの、大きな別れ目だと私は考える。現状は、ちょっと不安な面が覗いた、この一年ではなかったかのだろうか。


(2009年・秋)







大石 達也 の投球フォームを考える!


 今回は、2010年度のNO.1のポテンシャルと言われる、大石 達也(早稲田大)投手の投球フォームを、技術的な観点から考察してみたいと思います。


<踏み出し> ☆☆☆☆

 構えた時に、足の横幅をしっかり取りバランス良く構えられている。足をゆっくりと、高い位置まで引き上げる。ジワ~と大きなエネルギーを作り出している。

 ストレートが魅力の投手なのだが、全身を思いきって投げる力投派ではなく、静かな入りから、意外なぐらい凄い球が来ると言う、ギャップが打者の空振りを誘うタイプの速球派だ。

<軸足への乗せとバランス> ☆☆☆☆☆

 足を引き上げ軸足一本で立った時に、膝から上に向かってピンと伸びていないのが良い。けして速球派でも、フォームに余計な力が入っていないのが、この投手の最大の良さ。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。全体バランスも良く、軸足の股関節にも、しっかり体重が乗せられており、理想的な立ち方になっている。

<お尻の落としと着地> ☆☆☆

 足を伸ばした時に、地面に向かって伸びてしまっているので、お尻の一塁側への落としは甘くなる。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながる。

 大石の場合、ストレート意外の変化球が、これといった特徴がないのは、このお尻の落としにも、一つ大きな原因があるように思える。またお尻を落とせないために、将来的に見分けの難しいカーブや、縦への鋭いフォークなどの習得には苦労し、プロでも伸び悩む可能性も否定できない。

 ただ着地に関しては、地面に着きそうなところまで足を降ろしながらも、そこから前への一伸びができている。そのため、着地のタイミングとしては、それほど悪くない。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

<グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆

 グラブを最後までしっかり抱えられていないので、どうしても両サイドの制球はアバウトになりやすい。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 ただ足の甲の押し付けは、それほど深くはないが、長い時間、粘り強く地面を押し付けられている。足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。四死球率が極めて少ない大石だが、それは四球で自滅することはなくても、両サイドへの制球力が高いと言うことではない。そういった細かい制球力はないのは、やはりグラブの抱えなどをしっかりすることで、軸のブレを抑えることができるのではないのだろうか。

<球の行方> ☆☆

 大石に不安な点があるとすれば、実戦力を司る意味で最も大事なこの部分だ。第一に、テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に向かって真っ直ぐ伸びている。そのため、ボールをしっかり隠せていないのだ。その上、着地した時点では、すでに球の出所が見え始めていて、体の開きが速い。ただ大石の良さは、見た目以上に球が伸びてくるので、ボールが見えていても、打者の想像以上で球が来るので、空振りを誘うことができる、特殊な球質の持ち主なのだ。そのため、あえて「開き」が早いことに関しては、悲観しなくても良いのかもしれない。

 更に気になる点をあげるとすれば、リリースの際に、ボールを持っている方の腕が極端に上がり、グラブを持っている方の腕が下がり過ぎてしまう。これは、無理に角度を付けようとして、必要以上に肘を引き上げているからだろう。このため、体への負担は大きく、アフターケアに充分注意しないと、故障に泣かされる可能性も高い。腕の角度と言うにも、適正なものがあり、大石の角度は度を超えていると私は考える。

 ただ大石の非凡な球質を作り出しているのは、「球持ち」の良さにあると考える。グラブの抱えなどが甘くても、四球を出さないのは、この指先の感覚の良さと、お尻を一塁側に落とさない、縦推進のフォームのため、軸がブレ難いのが一つ大きな要因ではないのだろうか。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。

<フィニッシュ> ☆☆☆

 現状の大石のフォームが物足りないのは、「フィニッシュ」の部分に現れている。角度良く振り下ろしているはずが、意外に投げ終わったあと、体に絡んでこない。これは、彼の腕が、あまり振れていないことを物語っている。あえて、2010年度の大石には、この腕の振りに、こだわって欲しいと思う。

 また前への体重移動も、それほどグッと乗っていっている感じはしない。そのため、以前ほど、勢いのある球が来ていない気がするのだ。それほど躍動感溢れるフォームといった感じの投手ではないが、もう少しフォームからも、威圧感・迫力などがあっても良いのではないのだろうか。

 ただ、これだけの球速を誇る投手でも、投げ終わった後に、大きくバランスを崩さないのは、彼の投手としてのセンスの良さでもある。


(投球フォームのまとめ)


 お尻が一塁側へ落とせない投手なので、将来的に、カーブやフォークの習得が難しく、伸び悩む要素がある。

 必要以上に腕を引き上げており、故障の可能性が否定できない。もう少し適正な角度に、修正する必要があるのでは?

 腕の振り・体重移動なども物足りなく、まだまだ持ち得る能力を充分発揮できていない。

 投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「体重移動」は、平均的。「開き」に課題を抱えるのも、尋常じゃない球の伸びが、それを補っているタイプ。最大の良さは、「球持ち」の良さにあるのではないのだろうか。

 プロで通用する実戦力・攻めのバリエーション不足は気になるが、やはり持ち得るポテンシャルは、世代NO.1の片鱗を伺わせるフォームだと言えよう。


(2009年 秋) 







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大石 達也(早稲田大)投手 の成績を考える!


 ポテンシャルは、2010年度組NO.1と言われる、大石達也投手の、これまでの成績を振り返って、今回は考えてみたい。

(リーグ成績)

リーグ 試合数 勝ち 負け イニング 被安打 四死球 奪三振 防御率
1年春                
1年秋 24回 15 13 30 0.75
2年春 17回2/3 32 0.00
2年秋 16回 34 0.00
3年春 20回 14 22 2.70
3年秋 28回1/3 22 35 2.22
4年春 23回 17 35 2.74
4年秋 26回 12 10 29 2.08


1,被安打は、イニング数の70%以下 

 1年秋~3年春までの4シーズンは、このファクターをクリア。しかし、昨秋は、初めてこれを満たすことができなかった。下級生の頃に比べると、速球の威力が落ちており、その辺が投球にも影響していると思われる。最終学年では、ストレートの勢いを取り戻すことが求められる。

2,四死球は、イニングの1/3以下 

 一見荒削りに見える大石だが、実は非常に四死球が少ない投手なのである。この辺が、単なる速球派の範疇に収まらない彼の凄いところなのだ。

3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 

 すべてのシーズンにおいて、イニングを上回る奪三振を奪えている。特に3年春のシーズンを除けば、その奪三市率は、極めて高いものがある。けして絶対的な変化球があるわけではない大石が、ここまでの奪三振率を誇るのは、まさに驚異である。

4,防御率は、1点台が望ましい 

 1年秋に登場以来、防御率0点台を続けていたが、3年時は春・秋共に2点台に後退。この辺が、昨年イマイチ・大石の投球に凄みを感じる機会が少なかった要因かもしれない。最終学年で、元の輝きを取り戻せるのかが、一つ2010年度の目玉投手になれるのかの大きな別れ目と言えそうだ。


(データからわかること)

 試合を作るタイプではないが、ことリリーフとしての圧倒的な資質の高さは、やはり2010年度でもNO.1の素材と言えよう。データ的にも、昨今の防御率が不安要素で、あとはほぼパーフェクトな実績とも言えるぐらい。ここまで、圧倒的な数字を残してきた選手はいない。そういった意味では、データの上でも、2010年度で、NO.1の素材であることは証明された。集大成である最終学年で、これまで通り各ファクターを満たして行けるのか注目される。彼の場合は、更に進化するしないではなく、元の投球を取り戻せば、それだけで目玉級と言う、頭一つ抜けた次元の投手にもある。それができるのかが、最終学年でのチェックポイントとなろう。










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大石 達也(早稲田大)投手 182/76 右/右 (福岡大大濠出身)


(どんな選手?)

 言わずと知れた2010年度世代屈指の本格派右腕です。しかしこの試合では、遊撃手として出場してきました。投打に可能性を感じさせる選手です。

(守備・走塁面)

 一塁までの塁間を、4.0秒前後で走り抜けるなど、180センチ台の大型野手ながら、かなり動ける身体能力の持ち主です。しかし実際のところ、試合で走れる足があるのかは、微妙なのかなと感じました。

 遊撃手としても、やや腰高のフットワークでしたが、難しい当たりをダイビングしてアウトにしたり、フライを処理するなど守備面でも少々危なっかしくは見えましたが、無難にこなすあたりに、さすがと思わせるセンスはありました。

 ただそれほど小回りが効くタイプではなさそうですし、フットワーク・スピード感を観ると、鍛え方によっても、まだまだ変わるかもしれませんが、現状は上のレベルで遊撃手としては、どうなのかな?と言うふうにも見えました。ただ雨でぬかるんだグランドでも、怪我を恐れずダイビングキャッチを試みたり、今日は遊撃手なんだと言う強い意識が感じられたプレーには好感が持てました。

(打撃)

 低めのストレートを右中間にスリーベースをはじめ、昨日は低めの難しい球にも、素直にバットが出て、しっかりミート出来ておりました。バットの振り込み量の不足からなのか?まだスイングに強さは感じませんでしたが、低めの速球や変化球を、確実にミートポイントで叩いて点は、将来的に野手としての可能性もありかなと感じさせるものはありました。

 本人が野手でやるんだと言う割り切りが出来れば、もっともっとバットを振り込んできて変わるとは思いますが、現状はまだプロを意識出来るスイングには至っていないように思います。

(今後は)

 投手としてピリッとしない投球のため、渇を入れるために遊撃手でもやらしたのかと思ったら、監督はどうも本気で遊撃手としての可能性を模索しているようですね。それに対し、本人は、投手としての未練がありありのコメントでした。

 確かに、これから本気で野手として死ぬほど努力すれば、大卒で野手としてもプロ入り出来るぐらいの選手になるかもしれません。しかし恐らく上位指名されるような選手にはならないと思います。一つは大型ですが、基本的にスラッガータイプではないですし、守備・走力を売りに出来るレベルまで引き上げるには、あと一年では厳しいだろうと考えられるからです。

 投手としては、故障して投げられないと言うことがなければ、最上位で指名される器です。個人的には、投手としてプロ入りして欲しいと評価します。ただ投手として才能が開花出来ないと言う時に、初めて野手としての可能性を模索すべき選手だと思います。何よりコンバートで一番大事なのは、本人の意識が変わること。これなしに成功はあり得ません。現状は、投手として考えたいです。大石を遊撃手にするほど、早稲田は人材がいないんですか?


(2009年・春季リーグ)








 法大に150キロトリオがいるが、その球筋・球威と云う観点では、この大石が、すでに学生球界屈指の速球投手だと云えよう。速球全体が高めに浮いたり、捕手のグラブと構えたところとは逆に球が決まることも少ないし、スライダーのキレも際だつものはない。しかしわかっていても打てない程の速球の威力は、すでにアマでも3本の指に入る程の威力を誇る。

 神宮大会でも連日好リリーフを魅せ、全国の大学生達を力でねじ伏せた。常時140キロ台後半をマークし、MAX151キロまで到達。今後何処まで、その技量を伸ばして行くのか注目される。投手としての完成度の高い斉藤とは対照的な存在であるが、斉藤にはない底知れぬスケール感が彼の魅力。2人が切磋琢磨して、どんな成長を魅せてくれるのかこれからのアマチュア野球の楽しみになろう!


(2007年・神宮大会)