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澤村 拓一(中央大)投手 184/82 右/右 (佐野日大出身) |
「澤村 拓一と言う男!」 過去何十回と見てきた結論として、最後まで 澤村 拓一 のストレートには、ピンと来るものは感じられなかった。確かにプロアマ合わせても3本の指に入るであろう破格な球速の持ち主。しかしそのストレートを、並の学生に綺麗に振り抜かれる場面をしばしば見せつけられてきは、やはりクビを捻らざるえない。 結局今年に入っても、投球フォームは基本的には変わっていない。「開き」の早いフォームと高めに浮くことが多いと言う投球は、けして最後まで変わることはなかった。 (どうしてもダブル大場 翔太(ソフトバンク)の失敗 私はかつて、澤村と同様に神宮のバックネット裏で首を傾げることがしばしばあった投手がいる。ドラフトの目玉として入団し、その期待に応えられないでいる 大場 翔太 の東洋大時代の姿だ。澤村と似たタイプとは言わないが、大場のストレートの角度の無さ・球質の物足りなさは、最後まで私の不安を払拭するまでには至らなかった。それでも最終学年では、力まなければ課題であった高めにボールが浮く課題が改善され、一年間に17勝をもあげた実績は、澤村を遙かに凌駕する。そこで私は、課題を克服し、プロの世界でもやってゆけると判断し、最終的にはピンと来るものはなかったものの、☆☆☆☆ と言う高い評価を記すに至った。しかし人と言うものは、なかなか本質的なものを変えて行くことは厳しいことを、改めてプロと言う世界で目の当たりにしたのである。澤村の投球は、何処か大学時代の大場に感じたものと、ダブることは否めない。 (しかしながら) 澤村の投球を見ていて一番の活かし方は、プロでは如何にストレートを見せ球にしつつ、変化球で仕留めると言う割り切りができるかどうかと言うこと。横浜時代のクルーンも、とかく160キロ近いストレートの球速が話題になったが、澤村同様にストレート単体ではそれほど苦になる球ではなかった。クルーンの凄かったのは、140キロ台の高速スライダーやフォークの曲がりが、尋常ではなかった点。横浜と言う球団は、そのことを理解し、彼の持ち味を引き出すことができていた。澤村にも、そういった割り切りができれば、けして一度浮きながら沈むような独特のスライダーのキレ・たまに決まるフォークの落差などの変化球も、プロで効果的に使える可能性を秘めた変化球の持ち主だ。プロでしっかりした考えのバッテリーコーチや捕手がいるチームならば、彼の持ち味を存分に生かすことができるかもしれない。 また一見アドレナリン全快の力任せの投球に見える澤村の投球も、実は結構冷静な部分も併せ持っており、何が何でもストレートと言うこだわりは、彼の投球からは見えてこない。そう考えると、彼はプロの世界でも、そういった割り切りができる投手だと考える。 (佐藤 由規(ヤクルト)の成功!) 球速ほど球に有難味が感じられず、開きの早いスライダー投手と言うと、私は 佐藤 由規 を思い出してしまう。しかしながら高卒3年目で12勝9敗 防御率 3.60と着実にプロの階段を昇っている彼の姿を見ていると、澤村にも似た可能性を感じずにはいられない。 (最後は) 私は、あまり精神的な部分をスカウティングに持ち込み結論づけることは、正直好きではない。しかし澤村 拓一 と言う男の男気は、やはり評価しないわけには行かないだろう。「どんなもんじゃい!」と言わんがばかりに、一球ずつ捕手からの返球に対し 打者を睨みつけながらマウンドを降りてボールを受け取りに行く闘争心。投げたくてウズウズして、監督の前でウォーミングアップし続ける彼の積極さ。チームが逆境の中、自らの投手生命の危機に瀕しても、けして臆することなくマウンドに上がり続けるチームへの忠誠心。最後の最後は、澤村 拓一 と言う男の野球への姿勢が、見ているものの心を突き動かさずにはいられない。そういった魂のこもった投球ができる男 それが 澤村 拓一 なのだ!その部分を抜きにして、澤村 拓一 と言う男を、語ることはできない。 蔵の評価:☆☆☆☆ (1位指名級) この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年 秋) |
澤村 拓一(中央大)投手 184/90 右/右 (佐野日大出身) |
「細かいことを言ってもね」 攻めのバリエーションの少なさ、球の見やすさ、投球術などを見ていると、正直長いイニングでは厳しいと考える。しかし打者一巡ぐらいまでなら、その球威・球速でプロの打者を圧倒できそうなのが、学生球界最速記録となる156キロをマークした 澤村 拓一 だ。 いかにもウエートトレーニングで培ったような筋骨隆々の体つきから、プロでもトップクラスに相当する馬力のある球を投げ込んでくる。 (それだけ速いのに・・・) 私は、彼が学生記録を作った青山学院戦も、神宮のバックネット裏で見ていた。この日の澤村は、初回からすべて150キロを超え、MAX156キロにまで到達。その球の勢いは破格ではあったが、彼の速球は確かに勢いは凄いのだが、打者には不思議なくらい苦にせず打ち返される。 その最大の理由は、けして手元での伸びが凄いとかキレがあると言うよりは、ズドーンとミットに突き刺さって来る感じで、当てることが難しい球ではないからだ。それに加え、制球力が甘かったり、開きの早いフォームであったり、スライダーとの単調なコンビネーションでもあり、的を絞りやすい条件が揃っているからだろう。大学生に、簡単に合わされてしまうようなストレートを、プロの打者が打てないとは思えない。この試合では、球速表示の話題で盛り上がる一方、彼が連打を浴びて失点していた話は、あまり伝えられていない。 それでも先日のプロアマ交流戦を見ていると、短いイニングならば、ある程度いけるのではないかと思わせるほどのボールの勢いがあるのは確か。ただ現状は、ストレート以外に、これといった武器になる球がない。このことは、秋のシーズンで62回2/3イニングを投げて、僅か奪三振が42個しか奪えていないことが、如実にあらしている。ストレートで押せても空振りが狙って奪えない、決め手になる変化球がない。この課題を、如何に改善して行けるのかが、彼が即戦力として計算できる投手になれるのかの大きな別れ目になる。 (いかに改善して行くのか?) しかし彼の場合、アドレナリン全開で投げ込むようなタイプなので、あまり細々したことを言うのはナンセンスなのかもしれない。実際投球フォームなどを分析してみても、思ったよりも大きな欠点がないことがわかる。 それでも残念なのは、体の開きが早く、ボールが見やすいと言う欠点があるのは確か。そのため、いくら速い球を投げ込んでも、その効果は薄い。またもしこの開きを抑えた時に、彼の思いっきりの良さが薄れてしまっては意味がない。一番てっとり早い方法は、まずセットポジションをやめることだろう。どうしてもセットポジションでは、前の肩と後ろの肩が真っ直ぐ打者に向かうため、制球が安定しやすい分、球は見やすくなってしまう。 もう一つ気になる材料があるのは、足の甲で地面を押し付けている時間が極めて短いので、ボールが高めに浮きやすい。球質が悪くても低めに集まれば、これだけの球の力があればゴロの山も築けると言うもの。それが高めに甘く浮けば、それだけヒットにされる可能性が高い。本物の速球派投手ならば、高めに浮き上がるような速球こそ最大の武器になるはずだが、残念ながら彼の場合は、そういったタイプではない。 (明るい兆し) 彼の投球フォームを分析してみるとわかるのだが、お尻がしっかり一塁側に落とせる上に、着地までの時間も稼げているフォームなのだ。すなわち将来的には、縦の変化に磨きをかけられる可能性がある。また184センチの体格からも、手も小さくないだろうし、腕の振りにも角度があるので、根気よくフォーク習得の努力を続けられれば、将来的には、かなりのフォークボーラーになれる可能性は高いとみる。こういった武器になる球が一つ身につけられれば、今のフォーム・速球の球質ままでも、格段にそのピッチング内容は変わって来るはずだ。 (今年のポイントは) 彼には、攻めの引き出しを増やせとか、開きを抑えろとか細々したことを言っても、無意味なような気がする。むしろフォークに磨きをかけろとか、少しだけ投げる時に「間」を作れとか、一つ二つのシンプルなアドバイスの方が、良い結果が生まれる気がする。間違いなくその素材は、上位で消える器。あと1位指名を確実にするには、ほんのちょっとした変化に挑む野球への姿勢と、その器用さを示してくれれば、充分ではないのだろうか。 (2009年・秋) |
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澤村 拓一(中央大)投手の成績を考える! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今回は、アマ球界最速の156キロを記録した、澤村 拓一(中央大)投手の、これまでの実績から、考えてみたい。 (成績から考える)
2年春までは、東都リーグの二部に中央大が在籍。そのため今回のデータは、一部昇格後の3シーズンを参考に、考察してみたい。 1,被安打は、イニング数の70%以下 ○ 防御率を見てもらうとわかると思うが、この選手が本格化したのは、一部に昇格した2年秋ぐらいなのがわかる。そしてこのファクターを満たしたのは、昇格後の3シーズンで一度きり。このファクターを満たす能力はあるものの、ここ2シーズンは実現できていない。 これは、むしろ澤村の球の速さに馴れ、どのタイミングでバットを振ればボールを捉えることができるのか。あるいは単調な攻めのために、打者が以前よりもその配球を読めるようになってきたことの現れかもしれない。それだけに澤村にとって相手が慣れているはずの4年のシーズンで、このファクターを満たせるのかが、大きなポイントになる。注目される中、春のシーズンでは久々にこのファクターを満たすことができた。 2,四死球は、イニングの1/3以下 ◯ この条件を満たしたのも、2年秋・3年春の2シーズン。最も最近の3年秋のシーズンも、36.9%と、1/3は超えてしまっているが、極端に悪くない。そう考えると、四死球で自滅するようなタイプではないようだ。課題をあげるとすれば、むしろストライクゾーンの枠の中での、細かい制球力と言うことになりそうだ。 3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 △ 実は、これだけ非凡な球速を誇っていても、澤村はそれほど三振をバシバシ奪えるタイプではない。3年春こそ僅かにイニングを上まわったが、この秋は大きく奪三振の比率を下げている。その最大の要因は、武器になる変化球がない点だ。また自慢のストレートも、それほど空振りを誘うような球質ではないことも見逃せない。現状、短いイニングでエネルギーを爆発させるタイプではあるが、それほど三振を奪えない点は、正直気になる材料だ。 4,防御率は、1点台以下が望ましい ○ それでもここ3シーズンは、見事に1点台で試合をまとめている。適度に、要所を締めることができているのだろう。ただドラフト候補にとって、大学の防御率1点台は基準レベル。更に最上位を狙うような投手ならば、0点台の絶対的な安定感を示して欲しいと言う願望はある。4年時に、それを達成できるのか注目したい。 (データからわかること) 斎藤佑樹(早稲田大)同様に、すべてのファクターを満たした経験はあるのだが、それを常時出せる安定感・絶対能力がないのも確か。現状の内容だと、プロで即戦力になり得るかは、微妙だと言わざるえないだろう。 集大成となる最終学年では、更に進化した澤村拓一が魅せられるかで、不動の評価を得られるのかの大きなポイントとなりそうだ。 |
<踏み出し> ☆☆☆☆ ランナーがいなくても、セットポジションで構えます。そこから、グッと足を勢い良く、高い位置まで引き上げます。自分の「間」を大切にする先発タイプではなく、いっきにエネルギーを爆発させる、典型的なリリーフタイプの「踏み出し」だと言えるでしょう。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ 足を引き上げて、軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸びきることはない。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと 1,フォームに余計な力が入り力みにつながる 2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい 3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い などの問題が生じる。しかし、もっと力んで投げているのかと思いきや、その辺の問題がないのは、フォーム分析をしての収穫だった。 ただ軸足が折れるのが早く、体重を充分乗せられているの?と言う疑問は持つが、誰よりも速い球を投げられているのだから、その辺は悲観しなくても良いのかもしれない。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆☆ 幾分引き上げた足を二塁方向へ送るものの、お尻は比較的一塁側に落とせている。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるからだ。ただ彼の場合、どうも腕の振りなどを見ていると、やはりカーブやフォーク系の習得は、厳しいような気はしてくる。 ただ、前へ大きくステップすることで、着地のタイミングを遅らせている。着地を遅らせる意味としては 1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。 2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。 3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆ グラブは、しっかり抱えているわけではないのだが、最後まで腰のあたりから大きは動かない。を内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。 ただ、足の甲の押し付けは、つま先のみの押し付けで、けして深くない。その重心の高さが、ボールを全体的に高めに吊り上げている。足の甲で地面を押しつける意味としては、 1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ 2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える などの働きがある。左右の投げ分けは、ある程度できるのだが、全体的に球が高めに浮きやすいと言うことだろう。 <球の行方> ☆☆☆ 一番気になるのは、テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩が、打者に真っ直ぐ伸びてしまっている。そのためボールを隠すことが出来ていない。また着地の時点では、すでに前の肩が開いてしまい、ボールが見えてしまっている。球の出所が見やすいと、幾ら速い球を投げても、その効果は薄い。 ただ腕の角度は、無理がなく適正。これだけの球を投げ込んでも、体への負担は小さそうだ。また「球持ち」も悪くなく、しっかり前で放せている点には好感が持てる。 ボールを長く持つ意味としては 1,打者からタイミングが計りにくい 2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる 3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい などがあげられる。 <フィニッシュ> ☆☆☆☆ 腕を非常に鋭く、かつ強く触れている点に注目したい。腕が強く振れていれば、それだけでストレートは生きてくるし、打者は変化球にも惑わされる。この点では、2010年度の候補の中では、屈指のものがある。また前への体重乗りも悪くなく、非常に勢いのあるボールを投げ込めている。投げ終わったあとも、大きくバランスを崩すことはない。 (投球フォームのまとめ) フォーム分析をしてみると、意外なほど理にかなったフォームをしていると言うこと。ただ、お尻は一塁側に落とせるものの、将来的に見分けの難しいカーブや縦への変化を期待できるのか?と言われると、個人的には疑問を持つ。そういった意味では、攻めのバリエーションを増やせずに、伸び悩む要素は少なくない。ただ、これだけの球の勢いがあることを考えると、プロ入り後、リリーフを専門に投げて行けば、充分にある程度力で押さえ込める馬力を感じさせる。 制球を司る動作である「グラブの抱え」も大きく損なわれていないし、「球持ち」も悪くない。またフォーム全体が、欧米人の縦の推進で進むフォームのため、大きく制球が左右にぶれるフォームではない。むしろ気になるのは、足の甲が浮きがちなように、球が上吊る問題。この点が、球が真ん中近辺に入ってきた時に、怖いかなと思えてくる。 ただフォーム全体を考えた時に、「着地」「球持ち」「体重移動」と基準レベル以上のものがある。ただ最大の欠点は、「開き」の問題。ここが、球がみやすいので、いくら速い球を投げ込んでも、その効果が薄いところが気になる。また、一球、一球、「間」を変えて投げ込めるタイプではないので、打者が一度ボールを捉えるタイミングを身につけてしまうと、対応されてしまう。その点を考慮すると、もう少し投球に工夫がないと、最初の間は誤魔化せても、長くプロの打者の抑え込むことは、今の投球だと苦しいのではないのだろうか? (2009年・秋) |
澤村 拓一(中央大)投手 184/82 右/右 (佐野日大出身) |
恵まれた体格の投手ですが、非常にオーソドックスなフォームのため威圧感は感じられない投手です。ただ無理をしなくても、コンスタントに130キロ台後半~MAX146キロを投げ込めるキャパはあり、ひょっとするともっと速い球を投げ込める能力もあるのかなと云う気が致します。 球速ほどの球威・伸びは感じさせない球質なのですが、スライダー・チェンジアップなどを織り交ぜ、安定感のある投球をして来ます。もう少しマウンドで訴えかけるような存在感をボールに託すことが出来たら、再来年はドラフト候補としてマークされる存在になるのではないのでしょうか。期待して見守りたい投手の1人です。 (2008年・春季リーグ戦) |
沢村 拓一(栃木・佐野日大)投手 181/74 右/右 |
早くも140キロ近い球速を叩き出す、将来を嘱望される速球派。柔軟さのある素材が魅力。投手経験も浅く、まだまだこれからの逸材だが、打っても打線の中心。 |