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池ノ内 亮介(中京学院大)投手 177/75 右/右 (中京高出身) |
「改めて人の有難味を知る!」 広島カープに育成枠で指名された 池ノ内 亮介 のことを調べるうちに、改めて人の有難味を実感することになる。残念ながら、大学時代の池ノ内は、その名前こそ知っていたが、最後までその投球を確認できないで終わった。そこで私は、中京高校時代の彼の投球を確認しようと、中京高校が県岐阜商に破れるまでの10本のビデオテープを見返し、彼の投球を探すことにする。しかし残念ながらそこには、池ノ内の姿はなかった。それでも5年の月日が経って改めて私は、この岐阜大会の模様を大量に送って頂いた方の、人の有難味を実感することになる。 更に別の方から、大学時代の彼の投球フォームを撮影していてくれた。今回は、その映像を元に、彼の投球を分析させて頂くことにする。ちなみにこの映像は、彼が本格化する4年春以降のものではなく、その前の3年秋のものだそうだ。 (投球スタイル) スカウトに思わず「凄い球を放るな」と言わしめたストレートは、常時150キロ前後の球速を誇ると言う。そして140キロ台の高速スライダー、この二つの球が、この投手の持ち味のようだ。 チームでは、第二戦で投げることが多いようで、やはり制球難が最大の課題。アマ球界トップクラスの球威を誇りながら、育成枠に留まったのは、やはりプロを想定すると、実戦力に欠けるからなのだろう。 (投球フォーム) <踏みだし> ☆☆☆☆ ランナーがいなくても、前の足を引いてセットポジションから投げ込んで来る。足を引き上げる勢いは並ぐらいだが、非常に高い位置まで足を引き上げる。これにより大きなエネルギーを、生み出すことに成功している。ただフォーム序盤から大きなエネルギーの捻出を図ると、どうしても制球が粗くなるのは、投球動作の常となっている。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ 足を引き上げた時、それを支える軸足の膝から上がピンと真上に伸びきることなく余裕があるのはいい。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと 1,フォームに余計な力が入り力みにつながる 2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい 3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い などの問題が生じてしまう。ただ彼の場合、少し猫背気味になり、全体のバランス・軸足への体重乗せは、さほど良くない。膝に余裕がある立ち方をしているだけに、ちょっと惜しい気がする。理想の立ち方とは、Yの字に見えるように立つことだ。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 引き上げた足を、空中でピンと伸ばすことがないので、どうしてもお尻の一塁側への落としは甘くなりがちだ。 足を伸ばした時に、地面に向かって伸びてしまっているので、お尻の一塁側への落としは甘くなる。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながる。 ただ足をなかなか地面に降ろさない粘りと前へしっかりステップできるので、着地のタイミングは遅らせることに成功している。それだからこそ、あれだけのエネルギーを生み出すことができるのだろう。着地を遅らせる意味としては 1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。 2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。 3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆ グラブは、最後まで胸元にしっかり抱えることができている。ちなみにグラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。 足の甲の押しつけは、少々私が観た動画ではわかりにくい。ただ足の甲で深く押しつけられているかは別にして、結構長い時間押しつける粘りみたいなものは感じられる。 <球の行方> ☆☆☆☆ テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐは伸びておらず、ボールを隠すことができている。着地の時点でもボールを持っている腕は頭の後ろにあり、身体の開きは、けして早くない。 少々ボールを持っている方の肩は上がり、グラブを持っている方の肩が下がり気味なのが気になるが、それほど無理に角度をつけていないので、身体への負担は悲観することはなさそうだ。腕の振りが鋭く、球持ちはさほどではない。ボールに指先まで力をかけてバックスピンをかけるタイプではなく、強く鋭い上体と腕の振りで、キレを生み出すタイプの投手だと言えそうだ。 ちなみに、ボールを長く持つ意味としては 1,打者からタイミングが計りにくい 2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる 3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい などがあげられる。 <フィニッシュ> ☆☆☆ 腕の振りは鋭く、投げ終わったあともしっかり振り下ろすことができている。特に、胸の張りが素晴らしい。体重移動もけして出来ていないわけではないのだが、投げ終わったあとの地面の蹴り上げが乏しい。逆にステップを広く取りすぎて、重心が後ろに残ってしまっているのかもしれない。これだとボールに体重が乗らず、手元まで勢いのある球が行かなくなる。 (投球フォームのまとめ) もっと箸に棒にも引っかからないような荒削りなフォームを連想していたが、けしてそんなことはなかった。ただお尻を落とせるタイプではないので、将来的に見分けの難しいカーブや縦の変化の修得は厳しいかもしれない。基本は、ストレートに近い球速帯の変化球を主体に勝負して行くタイプだろう。 制球力が、何故そんなに悪いのかの理由は、ちょっとこの映像だけではわからない。身体への負担は、危険性は感じさせる部分はあるものの、許容範囲ない。アフターケアを怠らなければ、それほど悲観することはなさそうだ。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点では、「着地」や「開き」には問題がない。課題があるとすれば「球持ち」や「体重移動」と言う部分になるだろう。 楽天 (最後に) ちょっとわからないことが多いので、コメントにも困ってしまう。ただ一昔前ならば、これだけの球速を投げると言うだけで、充分に指名されていた選手ではないのだろうか。 ただ聞き及ぶところによれば、まだまだ実戦力には課題を残すようです。まずは、数年ファームで漬け込んで上手く適正を示せれば面白い存在に成り得るかもしれませんね。池ノ内 亮介と言う男を通じて、改めて人の温かみを知るそんな思い出深い選手。ぜひその勇姿を、プロマウンドで確認したいと思います。 この記事が参考になったという方は、ぜひ! |
去年はオーバースローで野手っぽい硬さのあるフォームでしたが、腕が下がったようで若干フォームが変わっていました。部員に聞いてみると足の上げ方を変えたとのことです。最初は変にまとまってしまったなあと思いましたが、観ているうちにだんだん投手らしくなってきたのかも印象に変わりました。 制球に関してはフォームを変えたことで安定してきました。昨年は岐阜大を2安打完封しましたが、150球近く投げており無駄球が多かったです。この日は5回70球で、若干テンポが悪いのですが、ストライク先行で危なげない内容でした。 第1試合は誰もガンを測っていなかったのですが、目測で130後半から140くらいかと思います。変化球は元々縦と横のスライダーがありましたが、この日はフォークらしき球も投げていました。 (2009年春・Kimi氏) |