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福山 博之(ベイスターズ)投手のルーキー回顧へ








福山 博之(大商大)投手 173/70 右/右 (大東高出身)





                  「見るからに気が強そうだな」





 彼の顔写真や立ち姿を観て、その異様なオーラに私は圧倒された。私はあまり人の人相から語ろうと思わないのだが、この男の雰囲気は尋常ではない。その見た目通り、非常に強気のピッチングが売りの闘争心の塊のような投手だと言う。

 今回も、実際見られた選手ではないので、あくまでもわかる材料からのみ触れて行きたい。したがって評価づけはできないことは、あらかじめご了承願いたい。




7:16~7:31秒ぐらい


(投球スタイル)

 小柄ながら、足を高く引き上げ、上下に大きく動く独特なフォームが魅力の力投派。

ストーレ-ト 常時140キロ前後~MAX148キロ

 かなりの力投派らしく、力強いストレートを投げ込む投手のようです。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップ

 縦の変化を武器にするのではなく、カットボール気味の高速スライダーとチェンジアップなどを武器にする投手だそうです。上記の動画でも、その高速スライダーとストレートが確認できます。


(リーグ成績)

リーグ 試合数 勝ち 負け イニング 被安打 四死球 奪三振 防御率
1年春                
1年秋 5回 9.00
2年春 4回1/3 0.00
2年秋 11回2/3 0.77
3年春 33回1/3 17 12 19 0.81
3年秋 10 68回 61 26 53 1.85
4年春 69回1/3 61 28 55 1.82
4年秋 55回2/3 38 12 34 1.46

 3年秋にベストナイン。4年秋に最優秀投手賞 をリーグで獲得している。


1,被安打は、イニング数の70%以下 

 登板数が増えた3年春・3年秋のリーグでは、このファクターを満たせなくなっていたが、4年秋に被安打率を68.3%に抑えることに成功している。動画の3球を観る限り、小柄の投手でも球が上吊るタイプの力投派ではなく、真ん中~低めに集まっていたのは好感だった。

2,四死球は、イニングの1/3以下 

 上下に激しく動くフォームだったこともあり、それまで制球力に不安を抱えていたようだ。しかし最後のシーズンには、四死球率が21.6%まで改善。この力が本物ならば、かなり制球力を向上させたことになる。

3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 

 投球回数の少なかった2年春のシーズンを除くと、このファクターは満たせていない。恐らくこのフォームだとスライダー・チェンジアップ中心なので、打者の空振りをバシバシ取れるタイプではないのだろう。大胆にコース一杯を突いて見逃しの三振を誘えても、やや球速・高低の変化に乏しく、三振は多く望めないタイプなのかもしれない。

4,防御率は、1点台が望ましい 

 投球回数が本格化してからは、防御率が1点台半ば前後と言うことで、絶対的な数字ではない。それでもリーグ戦によっての波も少なく、常に自分の持ち得る能力を引き出そうと言う安定した精神面が伺われる。

(データからわかること)

 最後のシーズンに、被安打率や制球力の改善など明るい材料が見えてきている。試合で魅せる熱い力投派と言うイメージだけでなく、常に安定した成績を残せる点は見逃せない。逆に負けも多く力尽きることが多いことからも、もの凄く勝負強いわけではないのではないかと言う気もしなくはない。





(投球フォーム)

 今度は、投球フォームの観点からこの選手のことを考えてみたい。


<踏み出し> ☆☆☆☆

 足の横幅をしっかり取り、足も引いてワインドアップで振りかぶります。上げたグラブを一度しっかり落としてから、足を高い位置までグッと勢いよく引き上げるフォームです。ただその一年の流れは、ワインドアップ時ではゆったりしており、もっと変則クィック気味なフォームかと思っていたのですが、ある程度の「間」をしっかり持って投げ込めるタイプでした。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆☆

 足を引き上げた時に、軸足の膝から上はピンと伸び気味です。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。ただ彼の場合、高く引き上げた足のおかげで、背中の傾きが小さくても、Yの字バランスは取れやすくなっており、全体のバランス・軸足への体重乗せ具合は悪くない。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆☆

 引き上げた足を空中でピンと伸ばす時に、高い位置で伸ばしている。そのため、お尻の落としは悪くない。その足を幾分二塁側に送り込むことで、バランスを取ろうとしている。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながる。彼の場合は、手が小さい可能性が高く、ボールをしっかり挟めるのか?と言う疑問は残る。もし縦の変化を模索するのならば、縦のスライダーを考えた方が良いのではないのだろうか?

 着地のタイミングも、少々この動画だと見難いのだが、早過ぎる印象はない。その後の体重移動から観ても、着地のタイミングも的確なタイミングで行われたいたようだ。ちなみに着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。


<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えることができている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 足の甲の押しつけは、上記の動画で見えない。しかし重心の沈み、その後の「体重移動」や足の蹴り上げ方からも、足の甲が浮いていたとは考えづらい。またボールが真ん中~低めに集まっていた点も、考慮したい。

足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。

<球の行方> 
☆☆☆

 グラブを斜めに突き出すなど、ボールをある程度隠せている。更に「着地」の時点では、ボールを持った腕は頭の後ろにあり、球の出所は見えていない。すなわち「開き」が早いと言うことはない。

 ただ腕の角度は、グラブを持っている肩は下がり、ボールを握っている肩は引き上がっているなど、かなり負担の大きなフォームになっている。元々力投派だけに、アフターケアには充分注意したい。

 この動画を見ると、リリースがイマイチよくわからない。ただその後の動作で、振り下ろした腕がしっかり絡んでおり「球持ち」が極端に悪いようには見えない。と言っても指先までボールを押し込むような感覚と言うよりは、上体や腕の振りで投げるタイプに見える。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。

<フィニッシュ> 
☆☆☆☆

 
腕をしっかり振れるので、最後までしっかり身体に巻き付き叩けている。ただ速球とスライダーの時の腕の角度が違うようにみえ、その辺が修正の対象となる可能性もある。

 地面の蹴り上げがよく、躍動感のあるフォームを作り出している。作り出したエネルギーを、最後までしっかり伝えきった証となっている。


(投球フォームもまとめ)

 小柄な体格からでも、145キロ級の球を叩き出すように、エネルギー効率が非常に良いフォームとなっている。それにも増して、制球を司るフォームも悪くはないので、制球に破綻はなさそうだ。

 お尻も落とせ、着地までの時間を稼げていることからも、これからもっと投球の幅を広げて行ける可能性は残っている。ただ無理に力任せに投げ込む傾向があるので、アフターケアには充分注意したい。

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、よくわからない部分もあったが、かなり実戦的なフォームをしているのではないのだろうか。今後の大きな上積みよりもある程度今ある技術・ポテンシャルで勝負して行くタイプだろう。


楽天


(最後に)

 残した実績・投球フォーム・伝え聞くピッチングスタイル・その顔つきなどを観ていると、スケールは感じなくても、一年目から短いイニングなら、結構面白いかもと言う期待感は抱かせてくれる選手。

 こういった堂々としたタイプの投手が少ないチームだけに、キャンプ・オープン戦と一軍投手陣を大いに刺激して欲しい存在だ。逆にすでにある程度出来ていそうな投手だけに、一年目に全く通用しないようだと、少々その後は狂しいタイプかなと思えてくる。あえて1年目の結果にこだわって欲しいタイプだと言う印象を受けました。ぜひ来春はオープン戦などで、その魂のマウンド捌きを見守ってみたいと思います。下位指名としては、面白そうな選手です。


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 二番手で登板した投手。169cm62㌔と小柄なのだが、球威はなかなかで多分140k前後は出ていたと思う。

ワインドアップで上げた腕を一旦腰元まで降ろすという、ちょっと変わったフォームなのだが、これがなかなかタイミングが合わなさそう。>個人的にはちょっと面白いピッチャーだなと思いました。

(2009年・春 M&T氏)