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乾 真大(29歳・BC富山)投手の藁を掴む!へ
乾 真大(日ハム)投手のルーキー回顧へ
乾 真大(東洋大)投手 175/70 左/左 (東洋大姫路出身) |
「変貌!」 東洋大姫路時代は、試合を作れるよくまとまった左腕との印象が強かった。そしてこの選手のピークと思われる大学2年時には、そのまとまりのある土台を元に、球威・球速を増し、コンスタントに140キロ台~中盤まで記録できるまでに成長。しかし昨年あたりから、縦の変化を武器にする、ショートリリーフタイプの投手に変貌していった。縦の変化と言う強力な武器を身につける一方で、元々持っていた繊細さが損なわれきた気がするのは、私だけだろうか? (投球内容) 大学の2年時のような、コンスタントに140キロ台~中盤で押せるような球の勢いは陰を潜め、今は常時135キロ~140キロぐらいの球速で推移している。それ以上に気になるのは、以前よりも球がバラツキが顕著になり、四球こそ多くはないが、甘い球、意味のないボール球が多くなっている気がするのだ。その辺は、昨秋の防御率が4.18.この春の防御率も3.28と、プロを意識するのならば1点台の防御率を望みたい世界だけに、大いに物足りない。しかし世界大学選手権では、少しボールのまとまり、テンポの良さが戻ってきており、秋に向けて明るい兆しを示してくれた。ラストシーズンに、一気に復活する可能性も残されている。 ストレート 常時135~140キロ強ぐらい 大学選手権、代表合宿・世界大学選手権とその投球を見てきて、ストレートのキレ・球速・コントロール共に、何処か物足りないものを感じていたのは確か。少なくても2年時の球の勢いは、まだまだ戻っていないとみて良いだろう。この球のキレ・勢いが戻れば、文句なしのドラフト候補へと浮上する。 変化球 ほとんどの変化球は、カウントを整える横滑りのスライダーと、空振りを誘う縦のスライダーとのコンビネーション。この二つを巧に使いわけることで、投球を組み立ててくる。特に縦の変化球は有効で、3年春のシーズンあたりからイニングを越えるペースで三振を奪えるようになってきた。 その反面、左腕らしいカーブで緩急・シュート系の球で投球の幅を広げると言う部分では物足りない。何処か一辺倒で、相手にタイミングが合ってしまうと止まらない脆さも同居している。 その他 牽制は、左腕らしく悪くないし、クィックも1.15秒前後でまとめられるなど基準レベル以上。また元々持っているマウンドセンスがある選手なのだが、年々三振が奪えるようになり、その分投球の繊細さが失われてきているのは気になる材料。その辺が、勝負どころでもはっきり出て、防御率の悪化につながっている。 <右打者に対して> ☆☆☆ 右打者に対しては、アウトコースに速球とスライダーなどでカウントを整えつつ、インコース低めに速球やボールゾーンに切れ込んでくるスライダーで空振りを誘う。多少投球にバラツキはあり、シュート系のボールは殆ど見られないものの、特に右打者を苦手にしている印象はない。 <左打者に対して> ☆☆☆ 左打者に対しては、外角中心に速球とスライダーで投球を組み立てる。今度は、外に逃げながら落ちて行くスライダーで空振りを誘う。腕を下げて投げるタイプではないので、左打者が特別打ちにくい球筋ではない。そうかといって、外角への制球力は悪くないので、左打者を特に苦手にしている印象はない。 (投球のまとめ) 球の勢い・細かい制球力に物足りなさを残すものの、狙って三振が奪えるほどの決め手があるのは大きな武器。そのため短いイニングならば、ピンチで相手の勢いを止めることができる投球が期待できる部分がある。しかし一つタイミングが合いだすと、一辺倒になりやすい怖さもあり、現状プロ入り後どう転ぶかの判断は難しい。 楽天 (投球フォーム) <踏み出し> ☆☆☆ ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込んでくる。足を引き上げる勢い・高さもまずまずで、フォーム序盤からそれなりにエネルギーを捻出ができている。この踏みだしを見ていると、先発よりもリリーフタイプとの印象を受ける。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ 足を引き上げて軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸び気味であまり余裕がない。 膝から上がピンと伸びきって余裕がないと 1,フォームに余計な力が入り力みにつながる 2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい 3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い などの問題が生じる。彼の場合、直立と言うほど真上に伸びていなく、全体のバランスや軸足への体重の乗せは、それほど悪くないように思える。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 引き上げた足をピンと伸ばす時に、地面に向かって伸びており、お尻の三塁側(左投手は)への落としは甘く見えるが、その後深く重心を落とすことで、お尻の落としは悪くない。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しにくい。 また着地までの粘りも悪くなく、けして地面を早く捉えすぎてはいない。ちなみに、着地を遅らせる意味としては 1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。 2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。 3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆☆ グラブは、最後まで内に抱えられている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。 また足の甲の押しつけも悪くなく、比較的長い時間、地面を押しつけることができている。足の甲で地面を押しつける意味としては、 1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ 2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える などの働きがある。元来はもっ細かい制球力があって良さそうだが、実際には指先の感覚が悪いのか、結構バラツキが目立つ。 <球の行方> ☆☆☆ テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩が真っ直ぐ打者には伸びておらず、角度を作ることでボールを隠せている。ただ身体の開きは平均的で、極端にボールの出所が見難いわけではない。 腕の角度にはそれほど無理はなく、球持ちも思ったほど悪くはない。ボールを長く持つ意味としては 1,打者からタイミングが計りにくい 2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる 3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい などがあげられる。 <フィニッシュ> ☆☆☆ 振り下ろした腕が、もっと身体に絡みついてきてもと思うのだが・・・。それでも地面の蹴り上げには躍動感が感じられ、体重移動はスムーズに出来ている感じがする。 (投球フォームのまとめ) お尻の落としはそれなりで、将来的に見分けの難しいカーブの修得や、更に縦の変化に磨きをかけることも期待できそう。それにも加え、無理に腕を高い位置から振り下ろそうとしなければ、それほど負担の大きなフォームではないように見える。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においても、「着地」「体重移動」はよく、「開き」「球持ち」も平均レベルにはある。投球フォームに大きな破綻はなく、プロでも通用する可能性を感じさせる。 (最後に) 細かい制球力の無さ・球威・球速不足の部分が不安要素ではあるのだが、世界大学選手権で魅せた時のテンポの良さ・スライダーのキレなどを見ると、短いイニングならば活躍できる可能性はあるのかなと思えてくる。 また大学2年時並の球の勢い・球速が戻ってきて、更に今の縦の変化を加えることができたのならば、プロでも貴重な戦力として活躍できる可能性充分あると考える。プロでどう転ぶかは微妙なのだが、その可能性を信じて、指名リストに入れてみたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年 大学選手権) |
乾 真大(東洋大)投手 175/70 左/左 (東洋大姫路出身) |
(どんな選手?) 東洋大姫路時代は、マウンド捌きに秀でた好投手といったイメージでしたが、東洋大に進んでからは、球速も140キロ台を記録出来るようになり、プロをも意識できる程の左腕に成長してきました。一時は、東洋大のエース格になったこともあったのですが、最近はやや伸び悩んでいるようです。今春のリーグ戦でも、7試合に登板して2勝1敗 防御率1.00ともう少し存在感を示して欲しいところでした。 (投球内容) これまでは、先発で観ることが多かったのですが、大学選手権や日米野球では、リリーフとして登板する機会が見られました。気持ちが前に前に出る気合いの入ったマウンド捌きで、テンポ好く勢いのある球を投げ込んで来ます。 球速もリリーフならば、常時130キロ台後半~MAX143キロぐらい。キレのある球が、ビシビシとミットに突き刺さります。変化球は、スライダーとフォーク?なのでしょうか、やや一辺倒なところはありますが、観ていて気持ちの良い投手です。 右打者には、内角クロスへの速球と追い込むとボールゾーンに切れ込むスライダーなどで空振りを誘います。左打者には、外角の真ん中~高めのゾーンに速球とスライダーを集めます。そういったコースへの制球力は悪くないのですが、コースがかなりそこに限定され、攻めのバリエーションが少ないことが、的を絞られやすい原因ではないのでしょうか。 (今後は) 左のリリーフ候補として、来年はマークされる存在だと思います。すでに大学での実績もある選手ですし、力のあるところは誰もが認めるところ。勢い+上手さのあるところを魅せて、即戦力への期待に応えるだけの技術を身につけて欲しいですね。投手としての幅が出来て来ると面白い存在になると思います。 (2009年・大学選手権) |